チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

大学でのシンポジウムに登壇~高校でのAL実践者として~

3月は、2回の北海道大学九州大学で行われた2回のシンポジウムにパネリストとして登壇させていただきました。ここでの様子と感想をまとめておきたいと思います。

 

北海道大学でのシンポジウム「自然科学のためのアクティブラーニング」】

北大の先生方の生物や数学における試行錯誤の過程は、コンテンツは違うとはいえ、ALでのつまずきや気づきは似ていて、共感を持って意見交換が出来ました。さらに、東京大学のKALSでの講義について話が伺えたことは、嬉しかったです。

 

北大の先生方の寛容で熱心な雰囲気の中、私は1時間をいただき、ワークを入れながらの講演を行いました。大学の先生方を対象にした場は初めてでしたが、とても心地よく進めることが出来ました。

 

その結果(?)予想以上に時間を使ってしまい、予定していたワークの一部等が時間内に収まりきれないという初めてとなる経験をしました。しかしながら、柔軟にプログラムを変更していただき、最後の話し合いの時間も確保してもらえました点は、感謝の一言です。

 

今後、その場に即した柔軟性のあるスライドづくりを少し意識していこうと思いました。パネルディスカッションでは、リフレクションについての最先端の問いかけがパネリスト全体に投げかけられ、その後有意義な意見交換が出来ました。懇親会では理学ならではのコアなお話も伺え楽しい時間を過ごせました。

 

北大のAL推進室のみなさん、パネリストのみなさん、参加されたみなさんに再度感謝したいと思います。

 

【電子情報情報通信学会シンポジウム「教育の改革に向けて」】

大学での実践発表を伺い、その背景などについても理解することができました。

 

ここでの持ち時間は25分でしたが、スライド枚数を絞り込み、参加者が活動する時間を講演時間に入れ込みました。会場は、普通に学会の雰囲気でしたが、コーディネーターの先生からも快諾をいただき、思い切って実行できました。通常の講演会にALの要素を入れるという、裏目標も達成できました。

 

お声掛けいただきましたこと、また急なワークに参加していただきました会場のみなさんに感謝いたします。

f:id:jugyo_coevolution:20160403050749j:plain

 

【メモや雑感】

両シンポジウムでの、パネルディスカッションでのフロアからの意見や会期中のやりとりを通して。

○全ての授業でアクティブラーニングが実施された場合には、AL疲れのようなものが起きないのか?というか、現在感じている。

→ 講義や詰め込みでの疲れを危惧してALをスタートさせている方も知っている。しかし、AL疲れが起きるまで浸透する際には、特に効果的な時間割を学校全体で考える必要が出てくるのではないか?効果的な配置については、試行錯誤と経験知が欲しい。

○学生側からすると、未完成なALで失敗をして貰ったままでは困る。

→改善のためのサイクルが回せていない状態は確かに厳しいかもしれない。一方で、学生と教員が試行錯誤する過程は意味があると考えているし、それを保証しない場合には、ALの視点からの授業改善は難しくなると感じた。また、一方が失敗と感じていても、本当に失敗なのかは分からない。

○効果的なリフレクションの実施方法とは?形骸化したリフレクション活動と出会うことがある。

→モチベーションを考えると、外的評価と結びついた際には、本来のリフレクションが難しくなる可能性はある。また、取り組む意義を感じられる仕組みは必要。リフレクションは強力なツールには変わりはない。実践を通した研究が必要。

○全ての教科に関心を持ち、本当の意味でアクティブになる必要はないのでは?

→担当する側からは、少し寂しいが確かにそうかもしれない。苦手を人並みには伸ばし、いくらでもチカラが使える分野や活動を知るためには、あらゆる教科で、生徒が主体的に学べるチャンスが必要になりそう。

 

これからも継続的に実践を通して考えたり、解決に向けて頑張りたいです。貴重なやり取りをありがとうございました。しばらくは生き方と結びつける授業実践についての研究がテーマとなりそうです。

【福岡】校外でのAL職員研修~空気感の変化を感じつつ~

県外他校でのAL職員研修講師という約2時間の貴重な機会をいただけました。招待していただいた先生から、「この日にすべてを掛けてALを職員にはじめて紹介する」と最初にコメントを頂きました。身に余る思いでしたが、嬉しく気持ちも引き締まりました。さらに、地元学習会のメンバーも視察兼応援にて駆けつけていただけました。

【研修会のメニュー】
1.自己紹介、ワーク
 なぜALをスタートしたのかという点からさらりとお話をした後、アイスブレイクは省き現在のALについての理解などについて、グループにて共有。この際に、授業時に用いている目的と目標をグラウンドルールとしてKP法にて提示。

2.ALの背景解説

 ALの背景や定義などについて、簡単に説明を行いました。時間節約のため、ここではグループ討議の時間は省略。

3.授業体験

オール新作で先生方に授業体験をしていただきました。①看図アプローチ、②KP法にて解説、③ミニジグソー、④確認テスト&リフレクションという通常授業に近い形をとりました。


4.授業見学シートの記入
 小林昭文先生が提唱されている「授業者を傷つけない振り返り会」を行うためのシート作りを、今度は教師の立場から振り返り記入していただきました。

5.「授業者を傷つけない振り返り会」とリフレクション
 司会とファシグラは学習会メンバーが担当していただき、振り返り会の手法に則って振り返り会を実施しました。その後、個人でのリフレクションを行い、再度グループで共有後(PKT)、質疑応答を少し実施。最後にコメントをして終了しました。

【感想・コメント(一部抜粋)】

・今日の手順を応用して楽典の知識定着や実技練習の効率化を図りたいと思います。

・ジグソー法について、各々の意見を出し合うことで、多角的な捉え方につながる可能性があると実感した。正確な理解を担当者が補足することで充実するのかとも思う。

・日頃の授業でも意外とALをしているんだなと気づいた。1回で結果を求めないということを聞いて、少し安心しました。

・いろいろな方法があることがわかりました。これ!というものはクラスによっても違うと思うので、その授業にあるALの方法を見つけていきたいと思いました。

・新しいことを始めるときの踏切の難しさを感じた。自分で壁を作らず楽天的にできることから1つずつ授業に生かしていきたい。

・発問などで全体に問いかけても手を挙げる生徒は少ないが、グループなどを作ることで、協力して行える雰囲気やコミュニケーション能力が身につくように感じた。

・様々な手法やその実践例を知ることで、ぼんやりとしていたアクティブラーニングに少し具体性が出た。中でも、講義型授業との兼ね合いや評価に疑問が多くあったが、解決やヒントを学ぶことができた。

・生徒が自発的に考え、解こうとする姿勢を育てる、寝ないで済む授業をしていく中にアクティブラーニングがあるのかなと思いました。

・アクティブラーニングは、生徒が主体的に活動しあっている場の設定があればALと呼んでいいということを学んだことが一番の大きな学びでした。生徒と一緒に実際にやっていきながら、学習に対する意欲を刺激したいと思います。

・生徒一人ひとりが授業に参加するための工夫がたくさんあり、とても参考になりました。プリントを使って内容を理解し説明をするという実践は授業に取り入れたいと思います。

・正解はひとつでなく、各人が工夫できること、アクティブラーニング型授業は、長い期間をかけてのものであること、育たい生徒像をイメージして取り組むことなど勉強になりました。

・看図アプローチは、ぜひ取り入れてみたいです。

 

看図実施の際には、会場の雰囲気が一気に切り替わるのを感じました。頭にスイッチが入る瞬間や空気感を感じながら職員研修ができるのは嬉しいです。ここでの経験は今後の研修や授業で活かしていきたいと思います。

3年生 授業の最後の感想

今年も3年生による最後の感想を書いてもらいました。

最後のためご祝儀的な感想ではありますが…ALはスタート時には、戸惑いを覚える生徒が多いものの、意図を伝えながら少しずつ進めていくことで、その効果を自ら感じることが出来るようになる傾向にあることが分かります。今後、この繋ぎをいかにうまくやるのかを考えていきたいです。

 

少々長くなりますが、以下、生徒の感想です。

 

◯自分でプリントにまとめたり、班内の話し合い活動を大事にする授業は新感覚で楽しかったです。

 

◯2年間生物を教えて頂きとても感謝しています。授業では生物の知識だけでなく、考える力やコミュニケーション能力など、卒業してからも必要な力を身につけることができました。他の教科では体験できないことができて本当に良かったです。

 

◯私はマインドマップの授業が好きでした。1枚の紙に自分の頭を整理しながら理解することができたからです。このやり方は自分でわかりやすいようにまとめるので、自己理解を深めることができました。また、覚えやすかったです。キーワードから連想しつなげていくことで言葉同士の結びつきを発見できるから私自身の知識が増え喜びとなっています。今後も整理をしたいときは思い出してやりたいと思います。生物は難しいことばっかりで「わからん」とテスト勉強を辞めたくなることもありましたが、先生との楽しい授業やマインドマップなどの新しい授業をしていくうちに理解ができていくのでうれしかったです。約2年間先生の授業を受けさせていただきありがとうございました。私たちと授業したことを忘れないでください。

 

◯ときにはわがままになり授業の仕方に文句を言ってしまいすみませんでした。今ではこの方が良かったと思っています。先生のこれからの授業に役に立てるなら私の本望です。社会人になる事は不安と期待と複雑な気持ちでありますが、人生はこれからなのでたくさん失敗したくさん成長していきたいと思います。先生もお体には気をつけながら授業の研究を頑張ってください。そして後輩の学力向上をよろしくお願いします。私たちのことをたくさん生徒たちに話してください(笑)今までありがとうございました。

 

◯2年間生物を通してたくさんの話し合いをしてきて本当に今では良かったなと思いました。いろいろありましたが、とても楽しかったです。ありがとうございました。また先生の授業を受けたいです。

 

◯最初、授業のやり方がわからず毎時間過ぎていくだけでしたが、時間を重ねるたびにこの授業のやり方の重要性に気づくことができました。今までは話し合いや意見交換に積極的に参加できていませんでしたが、先生の生物では自分にも説明するところがあるという役割があり、必死に考えるようになりました。この日々の積み重ねのおかげで自分の意見を人に伝えることが少し得意になったと思います。生物の知識だけでなく自分を変えられる授業は本当に凄いしたくさんの人に、この授業を受けて欲しいと思いました。

 

◯授業についていくのがやっとだったけど、楽しく授業ができてよかったです。2年間本当にありがとうございました。

 

◯2年間ありがとうございます。先生の授業はいつも楽しかったです。自由すぎる私たちの意見交換もとても面白かったです。先生の今後の授業研究に期待しています。本当にお疲れ様でした。

 

◯分からないところがあってもグループのみんなで話し合ったりとても楽しく受けることができました。最初は授業のやり方がよくわからず、戸惑うことも多かったのですが今となっては、あの厚い教科書が1年で終わってしまうような効率の良い授業の方法だったと実感しています。先生が先頭に立って教えるのではなく、生徒一人一人が考え答えをそれぞれで考えながら自分の意見を考えたり伝えたりしていくことの大事さは、大人になっていく上で誰も教えてくれないことだし、知っておかないといけないことだと思います。私たちの意見に耳をよく傾けてくれ、より良い授業にしてもらい、とてもうれしかったです。お体など気をつけてこれからも楽しい授業を頑張ってください。

 

◯2年生の時は先生の授業のやり方がよくわからなくて、内容を理解するのが大変でした。でも近くにいる人や班のみんなと協力することで、わからないところも理解できるようになりました。マインドマップなど先生の授業は今まで受けたことのないような授業でとても楽しかったです。また生物の授業を通して様々な力がついたと思います。先生の授業を受けることができてよかったです。2年間ありがとうございました。

 

◯生物は覚えることが多かったし、結構難しくて大変でした。先生は私たちのことを考えていろいろな授業方法をしてくれました。最初は凄く戸惑いましたが、より良い授業にするためだったということを後から気づきました。先生はいつも私たちの急な質問やむちゃぶりに答えてくれました。いつも1つ1つのグループや一人ひとりに声をかけてくれて指導してくれる素敵な先生。あっという間に2年間が立ちいよいよ卒業です。先生と過ごした時間はすごく楽しかったです。生物の授業がいつも楽しみでした。私たちも先生のことを忘れません。先生も忘れないでください。これからもお元気で。グループ活動が多かったので毎時間凄く楽しかったです。

 

◯私は2年間先生の授業を受けて、はじめの頃はわからないことがでも多かったです。でも何度も授業を受けていく中でわかることが増えていき、授業がすごく楽しくなりました。班活動を通して自分自身、発言力もついたと思うし一人ひとりの役割があるからそれを果たさなければならないという責任感や、説明する時にはどのようにしたらみんながわかるだろうかといろいろなことを考える力やさまざまな力が、この生物の授業の班活動等で身につきました。生物の授業でしてきたことを忘れず、これからの進学先でも頑張りたいと思います。先生が生物の授業をしていただき本当によかったです。

 

◯私たちがより良い学びができるために常に考えてくださり、積極的にグループディスカッションやスクリーンを使っての授業をしてくださり、私にとっては初めての事ばかりでした。思うような点数を取れない時もあったけど、そんな時は教科書を読み込んだり、友達と協力し壁を乗り越えることでより良い勉強のスキルを高めることができました。プリントも毎日準備してくださり、テストの次の日には丸つけをして統計まで作ってくださると言う仕事熱心で、熱い先生でした(笑)誰よりも生物が好きで生物に対しての興味関心が強く、教えてもらうと言うよりも一緒に学んでいくと言う授業が多かったのだと思います。その姿はちゃんと私たち生徒まで届いています。これから生物を学ぶ機会はほとんどないと思いますが、ふとした時に、このアブは擬態によって一生懸命に生きているんだなと思い出すこともあるかもしれません。このように授業を授業で終わらせるのではなく、何気なく生活の中で生物をつなげていきたいなと思います。最後になりましたが本当にありがとうございました。またどこかで会えたらお子さんの成長した姿も見たいです。

 

◯生物の授業ではたくさん考えることが多く、自分の意見を持つことの大切さを学ぶことができました。また自分だけで考えるのでなくチームで考えることを大切だと先生に教えていただきました。本当にありがとうございました。

 

◯先生の授業のやり方は初めてのことが多くてついていくのが精一杯でした。でも活動をしていくうちにだんだん力がついていき、傾聴力、発信力、グループでの話し合いをする力など自分でも驚くほど成長できた部分があります。最初の頃は、生物はあまり得意ではなかったけど、今はとても楽しく好きです。たくさん学ぶことがありました。

 

◯みんなと協力し、自分たちの力で生きるだけ問題を解決していくと言う方法は他の授業では体験したことがなくとても新鮮で楽しかったです。この授業のおかげでいろいろな力を身につけることができたので、これを進学後にも生かしていきたいです。2年間ありがとうございました。

 

◯先生の授業はいろいろ工夫がしてあり、分かりやすかったし、とても楽しく勉強することができました。進学しても生物の勉強はあるので先生から教えてもらった勉強方法でやっていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

◯授業のやり方に戸惑うこともあったけど、楽しかったです。ありがとうございました。

 

◯2年間ありがとうございました。私はもともと生物が嫌いでテストでもあまりいい点数は取れませんでした。でも授業も楽しくなってきて、たまに難しい問題もあったけど、授業のおかげでだいぶわかるようになりました。授業内容もいろいろ工夫してくださって、私たちの成長する場面が多々あり生物を選択してよかったです。

 

◯普通の授業方法とは違い、わからないところや戸惑いも多かったけど、回数を重ねるにつれ慣れてきて、クラス全体でも自分自身はあまり気づいていなかったけど、班活動がスムーズになったり成績も上がったりと大きく成長することができてよかったです。

 

◯この2年間で私は生物に興味を持つようになりました。また生物だけでなく授業を重ねていくにつれ、周りの仲間との協力することの大切さ、話し合いで大事なことなど、普通は学べない社会に出てから大切なことを学ぶことができ、先生の授業を受けられて本当に良かったです。これから先生の授業を受ける1、2年生にもがんばって欲しいと思います。

 

◯今まで2年間先生の生物の授業を受けることができ本当によかったです。正直、私は理科が小中学生の時はあまり好きでなかったのですが、先生と出会い生物の授業を進めていく中で、今まで知ることができなかったこと知ったり新たな発見がありました。さらに生活していく上で自分自身関連付けが身に付き、考え方が広がりました。決して得意科目と言えるほど成績を伸ばすことが思うようにいかなかったけど、今の私の中では生物が1番好きな教科です。これまで学んできたことを忘れず、これからも生活していきたいです。卒業して離れても、帰って来た時はまた面白い話を聞かせて下さい。

 

◯班活動がとても楽しかったです。たくさんの意見が出るし、発想の豊かさがすごいと感じました。

 

次の学年に向けて頑張りたいと思います。

KP法でポスターツアーを実施~発表編~

4コマ(うち2コマは自習)で、準備を進めたポスターツアー用のKPシートを利用し、KP法によるポスターツアー(KPPT)を実施しました。ポスターツアー用の班を再構成し、すべての生物群が同じ班に入るようにしています。

 

(準備編) 

KP法でポスターツアーを実施~準備編~ - チームで学ぶ!高校生物

 

【発表の流れ】(1人あたり発表:5分、質疑応答2分)

① ポスターツアー用の班(各班から1名ずつが出て6人班[A~F]をつくる)で回る

(1) AはPB-1、BはPB-2、CはPB-3…のポスター発表を聞く(する)

(2) ひとつずつズレていく(AはPB-2、BはPB-3、CはPB-4…という具合で)

※ 発表を聞くときは、しっかりと傾聴をし、質問をしたり、相互に話が出来るように

② すべての発表を聞き終えたら、自己評価・発表者のイイトコ探しを記入

さらに、リフレクションカードを書いて振り返りを行う

 

発表については、練習を放課後教室などでも行っていたそうで、それぞれ工夫をした発表が行えていました。インフルエンザのため欠席者が出た班は、急遽私がピンチヒッターを務めましたが、話の流れがよく分かるようにKPシートが作成されていたため、普通に説明も出来ました。

f:id:jugyo_coevolution:20160126221443j:plain

【生徒の感想】

◯ ただ説明するだけでなく、分かりやすく説明することの大切さを知ることができました。
◯ 少人数での活動で、話も聴きやすくて良かった。

◯ シートの書き方や分かりやすい構成などこれから役に立つことがたくさんありました。

◯ 発表準備が終わると、一人ひとりが内容理解をしようと努力していた。   

◯ 一人でするよりも周りと良い案を出し合いながらつくった方が良いものが生まれますね。 

△余っている時間あり、自分で勉強した方がわたしはあっている。 

△班内でも書くところをわけたので、理解度に差があり、質問に答えられず、まだまだだと感じた。

 

昨年度よりもよりうまく進行できたように感じます。また、多くの生徒がKP法自体の効果についても再認識できており、3年生の授業としてはうまくいったように感じています。

1名の生徒からネガティブな感想が出ましたが、KP法の場合には、たしかに早く作り終える班も出てきたため、そこをフォローしたり、班分けがうまくいかなったと感じる生徒への対応なども次年度の課題としたいと感じました。

 

【参考文献など】

小林昭文、鈴木達哉、鈴木映司、アクティブラーニング実践プロジェクト(2015)「現場ですぐに使える アクティブラーニング実践」産業能率大学出版部

チームで学ぶ!高校生物(2014)「ポスターツアー&相互評価を実施」http://albio.hateblo.jp/entry/2014/12/16/230629

KP法でポスターツアーを実施~準備編~

昨年度実施し「アクティブラーニング実践」でも報告をしたポスターツアーを今年度も実施しました。前回は、発表時には平等性が保たれるが、ポスター作成時にみんな参加するものの平等性を確保できないという点で改善の余地がありました。今年は、予告通り(?)KP法でのポスターツアー、略してKPPTを実施しました。

 

【準備流れ】(4コマ)

①テーマ選択

…生物の系統についてKP法で解説後、6つの生物のグループのうち興味のあるもの3つ紙に書く

②グループ編成

…マグネットテーブル形式で、自分と同じ生物のグループを挙げた仲間を探して3人で班を作る②評価項目を個人・グループ・全員で考える

…昨年度のものを参考に

③個人で担当分野をまとめる

…B4用紙に、教科書を、要素ごとにまとめていく。その要素ごとに切り取って、ミニKPシートとする

④グループでの検討

…同じ単元を学習した同じ班のメンバーのミニKPシートを並べたり比較したりしながら、班全体のKPシートの下書きをつくる

⑤KPシート作成

…それぞれ3~4枚を担当してKPシートを作成。班のメンバーの全員が完成後、全シートを並べて再度検討しシートの追加・削除などする

⑥発表および質疑応答の練習

…自由に練習できるようホワイドボードを班の数準備

 

【評価基準】 

◯KPシート

(1)重要な語句があるか?                       

(2)シート同士の結びつきは適切か?     

(3)独自の話題や具体例が取り上げられているか? 

(4)全体的に分かりやすい構成か?      

(5)イラストや色が効果的に使われているか?

◯発表時

(1)適切な態度(笑顔、聞き取りやすさ、スピード、ジェスチャー)で分かりやすい発表が行えているか?

(2)質問に対して、適切に応答しようと努力していたか? 

(3)他の発表者に対して、適切な質問が行えていたか?

(4)時間通りに発表が行えていたか?

 

f:id:jugyo_coevolution:20160126221534j:plain

ここでは、さらに調べ学習につなげることと、質疑応答対策のために、学習した生物グループごとに質問づくりを行いました。質問の焦点は「担当した生物グループは、環境に適応し、進化してきたor自由に学習していて疑問に思ったこと」としました。KP法もうまく機能し、それぞれがよく取り組めていました。また、ポスター作成時にレイアウトなどを考える必要がないことと、全ての生徒が参加するため前年よりも早く準備が進んだように思えます。

  

【参考文献など】

小林昭文、鈴木達哉、鈴木映司、アクティブラーニング実践プロジェクト(2015)「現場ですぐに使える アクティブラーニング実践」産業能率大学出版部

チームで学ぶ!高校生物(2014)「生物(マグネットテーブルからポスター作成) 「生物の系統」」http://albio.hateblo.jp/entry/2014/12/06/000628

【新学期】丁寧なガイドで立て直し

新学期が始まり、第1回目の授業をいつものようにしていると、うまく学べていなかったり、落ち着かなかったりする生徒が散見されました。観察していると、個人での学習時にうまくまとめられていない様子や、態度目標をしっかりと意識できていない様子が見て取れました。
 
第2回目の授業では、丁寧に次の2点を心掛けて進めてみました。
①個人活動の丁寧なガイド
どのようなまとめ方を目指したいのかを段階を示して、丁寧に話しをする。その上で、個人活動の時間を5分程度長めに設定。
 
②グループ活動での丁寧なガイド
 発表時には、説明するだけでなく、より伝わるための工夫をすること、しっかりと傾聴することで、質問や気付きが生まれること、それを共有することで理解が深まり、チームに貢献できることなどを話した上で進める。
 f:id:jugyo_coevolution:20160115181251j:image
2クラスとも同じように進めてみましたが、いずれも1回目よりも、うまくいきました。もちろん、それでもうまく活動できない生徒もいますが、個別に話しを聞いたりしながらフォロー。また、最初のセットアップ時も、まずリフレクションカードを見て、前回の振り返りを確認し、個人で何をするのかを考え、グループで共有するというステップも丁寧に踏んでいきました。

振り返ってみると、今までは新学期に授業の進め方が変わることが多く、丁寧に話をした上で進めていたのかもしれません。今後も、新学期の丁寧なステップとガイドは、意識していきたいと思いました。

追記
ミニジクソーは、1度エキスパート活動もキチンと入れる形で調整しました。男女間で差が出て来たため、学び合いのチャンスと捉え変更。うまく機能しています。

校内職員研修~質問づくり~

校内の人権教育職員研修を実施しました。今回は、質問づくりとポスターツアーを意識した研修を行ってみました。

 

1.質問づくりワークショップを実施【20分】

① 説明(6分)

② 氏名と体調、一言(3分)

③ 質問の焦点(テーマ)

【部落差別や様々な差別が、現在もあらゆる場面で生まれたり続いたりしている】

④ 質問の焦点に対する質問を出来るだけたくさん個人でつくり出す。(3分)

⑤ 差別について理解を深めるための質問という視点で、ベスト3を班内で決定。理由を

話し合う。(8分)

 

2.作成した質問に対して話し合いを行う【23分】

① 各班にてテーマを1つ選ぶ(1分)

② テキストも参考に、自分の意見をまとめる(5分)

③ 手順の説明とルール提示[グラウンドルール](2分)

④ 話し合い[ラウンド・ロビン→バズ・セッション](15分)
 

3.ポスターツアー方式による共有および振り返り【17分】

① 手順の説明(1分)

② 他の班と3~6人で班を組む(1分)
③ それぞれの班をまわりながら、説明を行っていく。(3分×2班)
④ 全体を振り返ってのコメント(3分)

⑤ 今日学んだこと、活動の感想を記入(3分)[リフレクションカード]

 

【感想、一部抜粋】

・様々な物事や場所での経験について、たくさん話したり、聞いたりすることで、あたらしい知識や正しい理解を得ることができるとあらためて感じることが出来ました。

・職業に差はない。どのような仕事でも尊いし、差別した考えを持ってはならない。自分の親も大企業で働いたりしていたわけでは無かったが、家族のために一生懸命に働いて育ててくれた。そのことに感謝しています。

・質問を考えることが新しくて興味深いと思った。ぜひ授業などでも実践したい。

・今と昔の状況を比べながら、新たな差別がどのようなものかを考えることができた。

・あまり関わらない職員同士で話し合うことは大切だと思いました。自分も考えもしないようなことを聞くことができ、勉強になりました。

・ポスターツアーは話しやすく、あたらしい感想や考えにも発展しやすいと思いました。

・改めて、差別って何?なんでなくならないの?新しく生まれてくるのということを考えることができました。答えは出ませんでしたが、こうやって何度も考えることは年齢や経験に関係なく、必要なことだと思いました。

・少数によるフループ協議は、問題点や改善点などを深く話し合うことができる。また、1人の意見を深く聞くことも出来る点も有意なことである。

・頭の中が柔らかく、広くなるように感じました。相手の言うことを否定も評価もしない姿勢が、自らの行動や思考を自由にするのだと思い、こういった方法は素晴らしいと思いました。

・とても活気のある活動でした。準備は大変かと思いますが、私自身何か考えが深まった気がしています。あの思考『自分の頭で物事をとらえて自由に考える感じ』をなんとか生徒に体験させたい!!…と強く思いました。

・自分の意見が、他者とものすごくズレているのではないかという不安から(最初は)発表の声も小さめでしたが、フタをあけてみると皆同じで、後半そのことが分かり良かったです。

・グループワークは職場における人間関係構築にもつながるため、今後も積極的に参加できる雰囲気作りを目指していただければと思います。

・ワークショップ面白かったです。どの班にまわれば良いか分からなかったため、指示の仕方が明確だと助かります。

・もっと他の班の意見を聞きに行きたいと思いました。

 

 それぞれが作成した質問を利用して、グループで交流することの有効性を感じているコメントが多く見られました。ポスターツアーを実施しようと思いましたが、思うように指示が伝わらず、予想しように進みませんでした、グループ間の交流はうまく出来ていました。うまくいかないと分かった瞬間に、グループ間の交流回数を予定より減らして実施しました。次回は、さらに時間にゆとりを持ち、ワールド・カフェ方式をさん工に実施してみようと思います。