イエナプランのブロックアワーを利用した高校生物での授業
3年生は、夏休み前に教科書が終わり、それぞれのニーズに合わせた授業内容に変更することを考えていました。
生徒達と今後の授業に求めることを尋ねていると、夏休み前よりもニーズの多様化がより鮮明になっていました。
そのため、一斉演習や復習をするのは、ここでは馴染まないと判断しました。そこで、かねてから実施の機会をうかがっていた、イエナプランのブロックアワーを参考にした授業へと変更することにしました。(今月1日、リヒテルズ直子さんの「今こそ日本の学校に! イエナプラン実践ガイドブック」が発売されました!)
まず1回目の授業では、生徒達のニーズを再度確認しながら、今後の授業の意図を伝えました。その上で、それぞれの学習計画表を作成してもらいました。
まず、残りの授業の中で、勉強したい課題を設定してもらいました(教科書、ノート、問題集など)。次に、半月毎にその課題を具体的にどれくらい進めるのかを計画してもらいました。1週間毎の課題でも良かったのですが、計画の見直しをする時期が、やや早くなってしまうため、ひとまず半月毎としてみました。
【自主計画表】
毎回の授業の大まかな流れは次のとおりです。クラス全体の課題として、毎回1単元ずつ進めることとしていますが、自主学習の時間はこのペースで進める必要は無いと伝えています。
①記述確認(個人→ペア)…15分程度
クラス全体で進める単元の記述6題を、個人で確認する。正確に書くことよりも、意味を理解して、自分の言葉で伝えることができるようにすることを目的にしています。
個人での学習後、ペアで3題ずつ問題を出し合い、口頭で説明し合いますが、内容を理解し合う時間としても利用することにしています。
【この先は個人で学習内容を選択することになっています】
②-1 演習1題とインストラクション…15分~20分
クラス全体で進める単元から、重要問題を1題示し、取り組みたい人を確認します。インストラクションを始める時間を伝えて、個別演習をしていきます。
そして、時間になったら、椅子と教材を持って、教卓の周りを囲むように集まり、教師のインストラクションを受けることにしています。ここでは、必要な生徒だけで、かつ少人数で行うために、理解度を確認しながら丁寧に進めることができます。
参加希望者が多い場合には、2回、3回と分けて実施し、少人数指導の機会を確保する予定です。
②-2 自主学習…30分程度
演習一題とインストラクションに参加しない生徒は、それぞれ設定した課題に取り組みます。また、②-1に参加している生徒も、インストラクション終了後は、自主学習の時間になります。
「自立学習の時間」という位置づけですが、必要に応じて友人と相談したり、教師に質問をしたりしてもよい時間としています。目標設定をしているため、それぞれ集中して取り組んでいますが、様子を見ながら必要最小限の介入は行うことにしています。
この時間は、わたしが巡回指導をするため、学習状況を確認したり、個別・グループへのフォローをしたりすることが可能となっています。
③学習の記録…5分程度
最後に達成度を計画表に記録して、進捗具合を確認できるようにしています。
まだまだ改善の余地はありますが、現在の感触としては、なかなかよい感じです。それぞれのニーズに応えることができているため、強制力を持って一斉に何かをさせる必要が無い点が、まず心地よいです。
そして、インストラクションも、少人数で実施するため、教室全体に声を張り上げる必要もありません。さらに、集まった生徒たちをよく見ることができる上、他の自立学習に励んでいる生徒たちの邪魔にもならず、集中力を保つことができています。
自主学習の時間に活動を止めて、全体に話をする方法では、必要ない生徒の集中力を途切らせることに繋がることが予想できます。巡回指導でもそうですが、振り返りでも適宜、個別指導を入れていく予定です。
この実践は、生徒の自律学習を促すことに繋がりそうです。また、わたし自身の今後の授業づくりにとっても、意味のある貴重な経験となりそうだと感じています。
【参考文献】
・リヒテルズ直子(2019.9)「今こそ日本の学校に!イエナプラン実践ガイド」教育開発研究所
・リヒテルズ直子(2015.2)「明日の学校に向かって オランダ・イエナプラン教育に学ぶ」(DVD)一般社団法人グローバル教育情報センター