チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

メタファーを用いた活用問題

酵素について学ぶ単元。まずは、いつも通りKP法で酵素について焦点を絞った解説を5分程度で実施。その後、酵素の特徴を生徒たちが、教科書を読み解き伝え合いながら理解していきました。

 

ここでは、主に次の内容を学習しています。

酵素は、少ないエネルギーで化学反応を進めることができること(活性エネルギーを減少)

酵素は、特定の基質(デンプン、タンパク等)としか反応しないこと(基質特異性、アミラーゼはデンプンのみ等)

酵素には、最適温度があり、温度が高いと立体構造が変化して働きを失うこと(失活)

酵素には、最適pHがあり、はたらく場所で最適な反応速度になること

 

復習項目も含むため、順調に進んでいきました。

 

その後、「酵素と基質の関係は、鍵と錠の関係に例えられることがある。この例えがうまく表現しているところ、つまり2つの間の類似点は何かあげましょう。さらに、うまく表現できないことは何でしょう?」と発問しました。

 

その際、類似点の個数によって評価することを伝え、そのときの表現は生徒と考えました。今回は、「0個:がんばろう、1個:合格、2個:すばらしい、3個:やったね。天才だ!、4個:神だね」となりました。

 

フワリとした表現ですが、このステップを加えたことで、少しでも多くの答えを探そうとしている様子を見ることができました。おそらく「5、4、3、2、1」という段階より実践レベルではよいのかもしれません。

 

類似点では、次のような意見が出されていました。
 
・鍵を使うと、小さな力で錠を外すことができる。

・鍵と錠は相手が決まっているという点が、基質特異性と似ている。

・鍵は何度も使うことができる点で、酵素と似ている。

 

また、「鍵は、無くなると使えなくなる点で、失活と似ている」という意見が出された際には、「確かに面白い視点だね。この意見をさらに、よくする場合には、どう考えると良い?」と投げかけると、「鍵は壊れると、使えなくなる点で、失活と似ている。だとどうだろう?」という意見が出されました。

 

相違点では、

・温度に依存して鍵の開けさすさが極端に変わらない点が、酵素とは違う

・同じくpHに依存していない。

酵素には、マスターキーが無い。

 

など、創造力をふくらませながら学習内容と日常の現象を関連付けている様子が伺えました。

 

わかりやすい表現、相手を納得させる表現として、例えを使うことがあるが、うまい例えは1つだけでなく複数の要素を含んでいること、それでも一致しない部分があることを意識すると、自分自身が内容を相手に伝えるときにも深まりそうだ、という点を確認しました。

 

問いとして取り組みやすものであるのと同時に汎用性もあり、知識の構築にも活かせる活動だと感じました。子どもたちが教科書内容等を分かりやすく伝えるときの活動に繋がりそうです。

 

※知り合いの数学の先生から「鍵は複製して増やすことが出来ますが、酵素は増えたりするものですか?」というアイディアをいただきました。この意見が出てくると、DNAからのタンパク質の合成の話とも関連づけることができそうです。