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チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践の記録

公開授業 経験学習モデルをまわす仕組み~リフレクション⇔セットアップ~

2015年度 授業実践

公開授業に合わせて、校外から7名の先生方に参加していただき、研究授業を行いました。今回実施した授業を含め最近は、国際キャリア教育学会の会期中等に研究者や実践者の方々との交流で得たヒントも新しく取り入れてみました。

 

【授業の流れ】

1.【セットアップ】個人思考→グループ活動(全2分)

 ・今日の活動をどのような雰囲気で進めたいか?

 ・その雰囲気をつくるために自分がすることは?

  → 1人一言で発表する

2.【質問づくり】個人思考(2分)→グループ活動(5分)

 ・「質問の焦点」に対する質問を個人で出来るだけつくり出す

 ・グループ内で発表後、ベスト3を決定する

3.【解説・看図アプローチ】KP法とKeynoteでの要点解説、クイズ(全15分)

 ・植物の反応について説明後、ドラセナの写真を示しクイズを出題

4.【ミニジグソー】個人思考(4分)→ジグソー活動&バズ(10分)

 ・解説した範囲を4つに分けて、教科書を利用して説明しあう

 ・全員が説明後は、質問などを通して理解を深める

5.【キーとなる質問】4の流れで、個人・ペア・グループで記述問題に取り組む

6.【関連づけ】個人思考(3分)→グループ活動(4分)

 ・2でつくった質問を1つ選び、考察や解答を考える

7.【確認テスト・リフレクション】(5分)

 ・確認テスト…選択問題、◯☓問題

 ・リフレクション…学習内容、学習過程の振り返り

 

コルブの経験学習モデル(経験→省察→概念化→実践)をまわすために、前時のリフレクションと授業開始時の活動を直接繋げる工夫をしています。リフレクションでは、「【成功】授業中の小さな成功は何ですか?」と「【気持ち】そのとき、どのような気持ちがしましたか?」「【挑戦】次の授業で挑戦したいことは何ですか?」を尋ねるようにしています。

 

そこでの気づきをもとに、リフレクションカードを見ながら、授業開始時に行動の宣言を行うことにしました。この結果、チームで気遣ったり、お互いに励まし合ったりする様子が、加速したように感じています。個人のパフォーマンスも上がっているようです。

 

質問づくりでは、4回ほどの練習を行っているため、短時間でたくさんの質問を出して話し合い、ベスト3を出すまでの時間は7分程度でできるようになりました。ここでの活動は、初めて見られた先生方には驚異的だったようで「事前に次行うことを伝えたり、考えてくるように話したりしていたのですか?」と質問を頂きました。もちろん、生徒たちは全く知らない状態で質問づくりをしています。

 

看図アプローチでは、ドラセナのぐるぐる巻きの写真を示して、植物の5つの屈性のうちどの性質を上手く利用してつくることがあるかを考えてもらいました。

選択肢( 重力屈性 ・ 光屈性 ・ 接触屈性 ・ 化学屈性 ・ 水分屈性)

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ここでは、重力屈性を正解としましたが、他の選択肢についても完全に間違いとはせずに可能性などについて言及しました。

 

ミニジクソーとキーとなる質問では、個人思考で、話の量をそろえた後にグループでの発表とディスカッションの時間としました。ここでは、理解が難しいところなどを互いに質問しながら活発に話し合いが出来ていたようです。

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関連づけでは、質問づくりの活動で、自分たちでつくり出した質問を学習内容と関連付けながら、解答を作ったり、また正解は出せなくても考えられるところまで考察したりする活動を行いました。このとき、ダニエル・チャモヴィッツ著「植物はそこまで知っている」の書評を配付して考える材料を提供しています。 

 

最後の確認テストでは、学習内容を振り返ることを重視しており、難易度は高くない問題で構成されています。リフレクションでは、自分自身が学習を通して、どのような力を発揮し育むことが出来ているのかを確認できるようにしています。ここでは、自己肯定感の醸成やそれぞれの強みを育成すること、チームづくりを意図しています。

 

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【生徒のリフレクション(成功・気持ち)】一部抜粋

1.成功体験と気持ち

◯きちんと質問ができ、解決することができた。 → すっきりした。

◯皆の意見を尊重できた。 →  嬉しかった。

◯質問に対して、考察ができ答えに近づけた。 → もっと知りたいと思った。

◯チーム全員がわかりやすいようにまとめて話せた。→新しい考えがたくさん出て良かった。

◯グループ内の意見をまとめて、一つの答えをだすことができた → グループワークの大切さを感じた。

◯活発な班づくりが成功した。 → 一体感が生まれた。

◯自分の意見を堂々と発表できた。→ なるほどという反応をもらえて嬉しかった。

◯昨日より深い質問をすることができた。→ もっとたくさん考えたい。

2.挑戦したいこと

◯友達の意見や質問を取り入れて学習する

◯自分の意見をうまくまとめる

◯これまでの知識とも関連付けを考察したい。

◯もっとわかりやすいように絵などを工夫していきたい。

◯もう少し科学者的な思考で質問したい。

◯最初の問題を作るときに、内容を濃くしたい。

 

【見学された方のコメント】一部抜粋

◯セットアップ時の生徒の反応が良かった。

◯教科書を読み解いて説明することが自然とできていて驚いた。

◯活動内容がホワイトボードやプリントで確認できて、わかりやすい。

◯看図アプローチが効果的であり、KP法もよく要点が押さえられていて無駄が無かった。

◯生徒同士の切り返しが早く、間違っても良いんだよという雰囲気が作られている。

◯相互承認をする雰囲気づくりを行っていることがよく伝わった。

◯読めば分かるところは自分達で学習することが出来ていた。

◯いろいろなコンテンツがあらかじめiPadに入れてあり、必要に応じて提示していた。

◯質問づくりから、学習内容との関連づけの流れが見事であった。

ファシリテーターになるという目的が良いなと感じた。

 

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f:id:jugyo_coevolution:20151014184051j:plain普段から学習会などで交流のある先生方の訪問で、振り返り会も和やかに進めることが出来ました。また、生徒の様子について、たくさんコメントをいただき、あらためて生徒の成長を感じることができました。参加された先生方ありがとうございました。

 

【参考文献など】

中島久樹(2015)「会議でぜひ試してください!セットアップと言う考え方」http://hisa-magazine.net/blog/merumaga/setup/

辰巳哲子(2015)「社会人の基礎力に影響する高校での経験」IAEVG International Conference2015

ダニエル・チャモヴィッツ著、矢野真千子訳(2013)「植物はそこまで知っている-感覚に満ちた世界に生きる植物たち」河出書房新社