チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

『たった一つを変えるだけ―クラスも教師も自立する「質問づくり」―』を授業にて実践

『たった一つを変えるだけ』で紹介されている、質問づくりのワークをそのまま実践してみました。

 

質問づくりについては、昨年度の教科通信の中で試みましたが、質問の質の向上がいまいちでした。また、1学期には、班内のコミュニケーションの活発化を意図して問題づくりをしましたが、こちらが意図するような結果には至らず、この活動はいっとき保留しておこうかと思っていたところ、よい本を知り合いの先生から紹介していただきました。

 

ルールや質問の価値の検討ワークについても実施。普段とは違う課題に戸惑いながらも比較的よく取り組めていましたと思います。

 

質問を作る際には、今回は『筋肉の収縮。ただし、科学的な思考にのっとること。』をテーマ(質問の焦点)に質問づくりをしてもらいました。生徒たちが、作った質問を一部紹介します。なお、次の4つのルールに従って進めています。

(ルール)

① できるだけたくさんの質問を出す。

② 話しあったり、評価したり、答えを言ったりしない。

③ 発問のとおりに質問を書き出す。

④ 肯定文として出されたものは疑問形に転換する。

 

【生徒の作った質問(一部抜粋)】 

・一番縮まない筋肉はどこか?

 ・筋繊維1本で、どれくらいの大きさや重さまでになるのか?

 ・人間に背骨がない場合には、どのような筋肉がつくのだろうか?

 ・筋肉を動かすとき、かならず収縮する必要があるのか?

 ・脳のはたらきと筋肉の収縮の関係はあるのか?

 ・筋収縮の結果、乳酸はどこに蓄積されるのか?なぜ痛むのか?

 ・足がつることと収縮の関係は?

 ・筋収縮は、エネルギーを消費するのみなのか?

 ・火事場の馬鹿力のときの筋収縮の仕組みは? などなど

 

「閉じた質問と開いた質問への分類」、「質問の形態を変換(閉じた質問⇔開いた質問)」を実施後、質問に優先順位をつけるワークを行っています。ここでの基準は、『高校生物の理解を深めるために有効な質問』を示しました。最後にはリフレクションを記述してもらいましたが、普段のリフレクションとは異なるコメントも多く見られました。また、次の時間には、授業での内容と自ら作った質問を関連させながら考察をしている生徒も見られました。

 

【リフレクション】

①今回の活動で何を学びましたか?

 ・質問の出し方。

 ・発想を出しきることで学べる。

②自分で質問できるように学ぶことはなぜ大切だと思いますか?

 ・理解したことを自分のものにするため。

 ・意見を言い合えるから。

 ・理解を深めることができる。

 ・自分から他の人へ拡げることができるから。

 ・自分の考えが深まる。

 ・疑問がなければ進化していけない。

③質問づくりを通して、どんな感じがしましたか?

 ・さまざまな質問があり、班員の発想力に驚きました。

 ・疑問がドンドン生まれて楽しかったです。

 ・意外にもたくさんの質問が書けて良かったです。

 ・分からなければ分からないほど、たくさんの質問が出る。

 ・ささいなことでも様々なことが関連していて、すごいと思った。

 ・ルールに従って作るのは難しかった。

 ・話し合いの数が増えた。

 ・もっと質問を作れるようになりたい!

 ・(頭が)疲れました。

 ・テストを作る先生は、大変だと思いました。

④その他、感想など

 ・質問の答えが気になりました。

 ・うちのクラスは話し合いで発展している。

 

動機付けとグループ内での話し合いの活性化、授業の目標である、自ら学ぶ「アクティブラーナー」を育成するという点とも親和性が高い手法で、さらに短時間で効果的に活用できるよう、生徒とともに練習を重ねていきたいと思います。授業構成にインパクトを与える素敵な本と出会いました。「質問の焦点」については、毎回、焦点づくりのポイントを見直しながら、より精度を上げていきたいと思います。

 

【参考文献】

ダン ロスステイン、ルース サンタナ、吉田 新一郎 (訳) (2015年9月)「たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」」新評論http://www.amazon.co.jp/dp/4794810164