チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

看図アプローチ&関連づけの練習(LTD) ~セーターを着たペンギン~

単元終了後、関連する記事を利用した授業を行いました。記事は、知り合いの英語の先生に教えていただきました。

 

以前「免疫」の学習後にエボラ出血熱の記事を示したところ、こちらが予想したよりも反応が良くなかったため、動機づけを高める試みとして看図アプローチを利用してみました。

看図は、以前オンラインワークショップで取り上げた方法です。

http://albio.hateblo.jp/entry/2015/02/14/004016

 

具体的には、次のような手順で進めました。

 

1.看図アプローチ

各個人にカラー印刷した手のひらサイズの写真を配付し、次のように発問していく。f:id:jugyo_coevolution:20150303214116p:plain

 「one green planet」February 11, 2015より

 

①【変換】写真に写っているものは何(名詞のみ)ですか?できるだけたくさん書いてみましょう。(例:テーブル)

  →数名に指名(ペンギン、爪、パイプ、エプロン…など)

②【要素関連付け】写真に写っていることは何ですか?できるだけたくさん書いてみましょう。   (例:チリ1つ無い、きれいなテーブル)

  →個人活動後、グループで話し合い(セーターを着たペンギン、目つきが鋭いペンギン、薄青色のタオル…など)

③【外挿】写真に写っていることからどのようなこと(物語)が予想されますか?

(例:事前にテーブルは拭かれ、これから食事が運ばれてくる)

 →個人活動後、グループで話し合い(これからお風呂に入り檻に帰るところ、親からはぐれたペンギンが寒くないように温めているところ…など)

④ 次の記事を読ませる(日本語訳したものを利用)。

Anna Vallery「one green planet」February 11, 2015

http://www.onegreenplanet.org/news/australias-oldest-man-knits-sweaters-for-penguins/

  

2.関連づけ(LTDの手法より)

 ① 主張の理解(主張のまとめ。自分の言葉で簡潔に言い換える)

 ② 知識や自己との関連づけ(これまでの授業の内容や、自分自身との関連付け)

   (1) 文章の内容を選択。持っている知識や自分自身のことを選択。 

   (2-1知識) 2つを比較して、類似点や相違点、明確になった点やあいまいになっ

        た点などを書く。

   (2-2自己) 自分自身について思い出したり、考えたりしたこと、将来のこと、

         新たにやってみようと思ったことなどについて書く。

 

【生徒による関連づけの例】

富栄養化以外にもオイル流失などの水質汚染で、生態系に影響を与えている。

・ペンギンが減少することで、生態系全体に影響を与える。

・セーターを着ることで、発育や行動に与える影響があると思った。

・海や川に虹色の油が浮いていることを見かけることがあり、自分には害がないと思っていたけど、ペンギンなどの動物にはとても重大な問題だと感じました。

・油の流出で、ラッコや海鳥も傷ついている。

水質汚染による影響で、エサとなる魚などの生き物が減ることもあると思う。

 

【感想より】

・ペンギンに何でセーターを着せているか分からなかったけど、人間のせいで必要だったのだと分かった。

・看図アプローチは、みんなから色々な意見が出て楽しかったです。想像力が付きそうです。

・人間は影響力が強く、人間が生まれたことで動物の生活が壊されていると思うとツライ。

・ペンギンのためにニットを作るボランティア活動をしている方々は本当にスゴイと思いました。私も生きる時間を有意義なものとなるように、生きていきたいです。

・オーストラリアのオイルの問題は、水俣病と似ているところがあると思いました。

・これから自分のなりたい人間像を考えるイイ機会になりました。

 

最後には、私自身がペンギン基金に寄付をした際に、送られてきたセーターを着たペンギンのぬいぐるみやお礼の手紙の実物を見せました。興味を持っている様子が伺え、良い反応でした。一方で、関連づけがうまく出来なかったという意見もあり、相互の意見交換後にもう少し時間をとって書き直す時間を設けても良かったと感じました。

 

【参考文献】

安永悟(2011)「LTD話し合い学習法」JUCE Journal, No.37,2-7

http://www.juce.jp/LINK/journal/1201/pdf/02_01.pdf