チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

生物の授業開き&深い学びをつくる生物パートナー

今年は次のような流れで授業をスタートさせました。

 

① 教材の確認、テスト返却、宿題の確認(さらりと)

② 自己紹介KP

③ 『生物を学ぶのは何のため?』の個人思考、シェア

④ 生物学を学んだ人同志の対談動画

⑤ 深い学びをつくる生物パートナーの名前が書かれたカードを選ぶ

⑥パートナーについて調べる宿題を提示

 

まず「ある高校生が考えていたこと」と題して、生命に対する問い(なぜ死ぬのか?見事な仕組みを持つのか?進化について)から眠れなくなったエピソードを紹介しました。そして、生物を学ぶことは「生や死と向き合うこと」だと考えるように至り、生物を学ぶ道に進路変更(歴史学より)したことを伝えました。

 

このある高校生が、以前の私のことであることを話し、自己紹介の代わりとしました。そして、「生物を学ぶのは何のため」か、まず個人でノートに記入してもらいました。ここでは、それぞれ自由に書くことを途中で促したところ、次のような意見が出ていました。

 

〈生徒の意見の例〉

  • 自分自身の身体のことを知って、将来病気をしたときなどに役に立つから。
  • 身のまわりの環境について知ることで、より良い活動をすることができるから。
  • 自分の中に学びたいという気持ちがあるから
  • 将来医療系の進路に進んだときに役に立つから など

 

これらをグループおよびクラスでシェアした後、熟達者がどのように考え、感じているのかについて、対談動画を見ました。この中に直接的な答えはありませんが、内容は大まかに次のようなものとなっています。

 

(生物を探究する中で、人知を超えた時間や複雑さのほんのごく一部を切り出し、科学的な小さな知見は得られたが、同時にそこで垣間見たものと得られたものとの間に、とてつもなく大きなギャップを感じた)

 

その後、「生物」(他の教科も含め)を学ぶことは、ものの見方や考え方、生き方に関わることであることを話しました。そして、「人生を支える視点のひとつとして『生物』を獲得して欲しい」と伝えました。

 

わたし自身も大学院時代には、特定の生き物の研究を通して、生物について学びを深めてきました。生徒達にも似たような経験をしてもらうことを意図して、1年をかけて学んでいく生き物を一人一つずつ決めることにしました。参考にしたのは、キエラン・イーガンの『深い学びをつくる』です。

 

モデル生物など生物学の発展に貢献している生き物の名前が書かれたカードを約40種類作りました。最初は裏返した状態で、一人1枚ずつカードを引いていきました。引いたカードによっていろいろな反応があります。

f:id:jugyo_coevolution:20180414172220j:image

人数が少ないクラスでは、一人ずつ生き物の名前を答えてもらいシェアしました。人数が多いクラスでは、一人ずつ引いた時点で教師が声に出しながら確認した後、「馴染みがあまり無い生き物だった人は?」「逆に馴染みがある生き物だった人は?」と全体に尋ねて、何人かの生徒から答えてもらいました。

 

この生き物をそれぞれの「生物の学びを支え、深めるパートナー」としました。そして、①名前(和名、英語名、学名)とその由来、②写真もしくはイラスト、③この生き物と生物学との関連について調べてノートにまとめてくることを最初の課題としました。

 

翌日には、さっそくまとめを作っている生徒がいました。ノートを覗いてみると、生物学との関連だけでなく、宗教との関連についても調べていました。今後の展開が楽しみです。

 

【参考文献】

キエラン・イーガン(2016)「深い学びをつくる:子どもと学校が変わるちょっとした工夫」北大路書房  http://amzn.asia/gILLjpq