チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

1枚ポートフォリオ(OPPA)のジレンマを越える2つのアイディア~授業デザイン会の成果として~

1枚ポートフォリオは、学習前の知識(診断的評価)と各授業での学び(形成的評価)、さらに全体のまとめ(総括的評価)を1枚に残していく手法です。

 

http://albio.hateblo.jp/entry/2016/12/23/075248

(一枚ポートフォリオ評価(OPPA)と思考ツールを活用した導入)

 

とても良い方法でずっと使っていました。上記の記事では、診断的評価を単なる知識不足を確認するだけの活動にしないための工夫について紹介しましたが、さらにいくつか気になる点が出てきていました。

 

①今日のまとめをうまく書けない場合がある(質や量の不足)

②診断的評価と総括的評価で使う「問い」は同じものを用いているため、問いの幅が広くなりがちで焦点を絞るのが難しい

 

①について最初に行った工夫は、教科書会社の指導書にある重要語句の一覧を拾ってきて、授業時のプリントに「振り返りのヒント」として、載せました。これをヒントに言葉を繋がるように説明していくと質や量の確保が出来るというものです。ただし、単元によっては重要語句も多くなる場合もあり、うまく活用できているとはいえない状態でした。そこで、次のように指示をすることにしました。

 

「重要語句から、本単元を説明するために特に大切だと考えるものを理由を考えながら、3つ選び、それらを説明しましょう。」

 

すると、活動が明確になったことから、質や量ともに全体のレベルを上げる活動ができるようになりました。時間があれば、なぜそれを選んだのかというランキングワークを行うことで、思考をさらに深めることも可能だと考えています。

 

②については、なかなか取り組みが進んでいませんでしたが、学校訪問を受けた際に、他校の先生方と授業デザイン会でアイディアを練り合う中で、次のような解決の糸口を掴むことができました。(学校訪問の様子は次の記事で紹介します)

 

それは、同じ問いを利用するが、単元の最後では、少しだけ変化させて尋ねるという方法です。大きく変えると自らの変化が分からなくなってしまうため、必要最小限にする方向で考えていきました。

 

例えば「植生の遷移」の学習を行う際に、『植物は環境からどのような影響を受けているか?また、植物は環境にどのような影響を与えているか?』という課題を出します。すると、単元学習前では、「光や温度の影響を受けて生育している」「酸素を作り出している」などの意見が出されます。

 

「植生の遷移」では、植生の移り変わり、つまり「時間」の概念が大切になってきます(←これもデザイン会で明確に)。これを尋ねるためには、最初の問いのままではやや幅が広く焦点を絞りきれない可能性が出てきます。そこで、授業デザイン会でのアイディアを練り合う内に、次のような問いで尋ねてみてはどうか?ということになりました。

 

『植物は環境からどのような影響を受けてい「く」か?また、植物は環境にどのような影響を与えてい「く」か?』

 

1文字を変えただけで、時間の概念が入ります。この結果、生徒達は、遷移の時間的な流れを記述の中に見事に入れることができていました。

 

これ以外のパターンとしては、【具体的な例を挙げながら】や【3つの例の共通点を明確にしながら】などの補足を加える方法もありだと思います。このとき、単元の中で、何を習得して欲しいかを明確にしておく必要があります(本質を見極める)。

 

1枚ポートフォリオにおける「問いづくりの視点」を手に入れ、新しい可能性と感じています。今後、他の章でも、理解の深まりを可視化できる問いを研ぎ澄ませていきたいと考えています。