全職員で目指す生徒像を考えるためのワークショップ①~見える化とKPT~
高大接続や授業改善に向けた取組みを進める中で、各高校が目指す生徒像を明らかにしていく作業が必要になってくると思います。このとき、全職員また生徒のチカラを借りながら、現状を把握した上で見出していくことが次へのアクションへとつながっていくと考えています。
ここでは、前任校でも行ったKPT(Keep、Problem、Try)というフレームを用いたワークショップを実施しました。先生方すべてが出来る限り本音を出し合い、さらに意見を練り合わせながら考えていけるように、小グループ(8~9名)7班での活動をメインに実施しました。ここでは、模造紙に記録を取りつつ、議論を進めていくファシリテーター7名が必要となります。事前準備として、ファシリテーター役+αでの事前勉強会を実施しました。
【事前勉強会にて】
・まず私がファシリテーター兼グラフィッカーとして、本番同様に進行を行う。
・終了後に、話題が偏った際に「他の視点からの意見はありますか?」と声を掛けていたこと、記録の際に漢字で書けない所はカタカナで、繋がりを線で結んだりアンダーラインを引く等など、ポイントや小さなコツなどをお伝えしました。(キレイでなくて大丈夫、記録として見えればOKを実演)
【当日の流れ】(2時間)
①「高大接続」の定義を簡潔に説明(3分)
…グラウンドルールも確認(自他の尊重、秘密厳守、プロセスを楽しみましょう)
※講義形式で椅子のみ配置。ただし、同じグループは近くに着席(年齢、教科、男女を混ぜる)
②チェックイン(6分)
…名前(ニックネーム)、ワークショップにどう臨みたい?、体調、カタルタを引いて一言
※前列の方が後ろを椅子ごと向けて小さな円をつくる
③背景について解説(15分)
…管理職より。高大接続の背景、地域の現状などについて
④進め方解説・移動(6分)
…各グループで、教室の壁に貼られた模造紙(2枚)の指定された場所に椅子ごと移動
※模造紙を囲んで半円をつくる
⑤Keep
…本校の良い点(Keepしたいところ)を出し合う
※個人思考(3分)→グループで意見を出し合う(15分)を基本。ただし、グループごとに柔軟に進行。以下同様
※個人思考、メモ用にKPTフレームをA4用紙に印刷したものをそれぞれに配付
⑥Problem
…本校の課題(Problemだと感じること)を出し合う
⑦Try
…KeepとProblemを眺めた上で、挑戦したいことを出し合う
⑧キーワード(6分)
…生徒像を考える際のキーワードを考えて、グループで記録また線で囲む
⑨全体共有(ゆる~いポスターセッション)(15分)
…休憩を兼ねて他のグループのグラフィックを見て回る。各グループよりホストを1名たてて、聞きたいこととかあればオシャベリをする
⑩チェックアウト(10分)
…次のワークショップではどうしたいか?、気づき、今感じていること
⑪スケジュール説明・総評
…これからのワークショップ等のスケジュールおよび管理職よりコメント
グラフィッカーの先生方は、1度の練習のみにも関わらず、見事に場をまわされていました。メンバー以外の先生方も積極的に参加され、私はタイムキーパー兼見守り役として全体を見ていましたが、それだけでチカラが湧いてくるという体験ができました。
さまざまな意見が出され、一見相反するような意見の中にも共通性を見出せたり、現状を把握しつつ目指す姿の輪郭が浮かび上がってくるプロセスを見つめたりすることができました。
【参加者より】
◯今までこういう場を職員全体で取る機会はなかったけど、必要だと感じた。
◯閉塞感の中で、なかなか言えないだけで先生方は面白いアイディアを持っていることがよく分かった
◯忙しさの中で疑問に思うこともあったけどなかなか話せずにいたけど、同じように感じている方がいることが分かり嬉しかった
◯言いたいこと言えてスッキリした
◯さらに踏み込んで生徒像を明確にしたい
先生方の底力を引き出す場作りとして、ファシリテーション・グラフィックがよく機能していました。これからに向けて、よいスタートを切ることができました。
【参考文献】
藤原 友和 (2011)『教師が変わる!授業が変わる!「ファシリテーション・グラフィック」入門』明治図書 http://amzn.asia/4YkB1Bt
中島久樹(2015)「振り返りの手法紹介:KPT法」ナカシマガジン http://hisa-magazine.net/blog/ref/kpt2/