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“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

【読書の記録】『公教育をイチから考えよう』~オンライン読書会へ~

今回2度の『公教育をイチから考えよう』を利用したオンライン読書会を行いました。

 

本書では、公教育は、産業発展のための人材育成といった固定的な価値観でなく、社会動向や未来のヴィジョンを見据えてダイナミックに変化していく必要があること、「よい教育」の原理や実践を現場で実装可能にするためには、教師だけでなく生徒、保護者といったあらゆるステークホルダーが知恵やチカラを出し合って行く必要があることが確認されています。官教育から、本当の公教育にしていくための力強い原理や、オランダでの実践を知ることができました。

 

特に貧困層への資金投入がしっかりと行われ、さまざまな尺度で生徒の成長を見ている姿勢は、日本のように富むものが塾に行き1つの尺度だけで成功か失敗かが決められる社会とはずいぶん違うなと思いました。

 

また、科学に慣れ親しんだものとしても共感できたのは、「教科書中心主義」は、AならばBというような単純化された思考を強化し、原因と結果がはっきりとしない現実社会の理解を妨げているという主張でした。

 

科学は人類が共通に紡ぎ上げてきた大切な文化であるという理解のもと、その知識を学んでいくのと同時に、完全な解答を示すものでも無いこと(納得解)、限界があることについても経験社会での学びを通して理解を深める必要があると考えています。この点については、「測定できる力から測定できない力へ」、「丸暗記から問いかける姿勢へ」という書籍で紹介されていた考え方にも実にスムーズにつながると感じました。

 

マイクロソフトは「個人業績」よりも、チームへの貢献度、チームとの協同、個人の成長に重点を置く人事制度に刷新すると宣言したそうです。このことは、個々が最大限の能力を発揮させることができ、幸福を求める自由が保障されたときに、持続的で意味のある発展を続けることができるという本書の主張と見事に一致していると感じました。

 

テストについても、序列をつけ他人と比較することに特化したものでなく、発展モニターに重点を置いたものにしていくことで、それぞれの子どもの特性を育むことにもつながるのだと感じます。そこで生じた多様性を認め合い、協同することで、全体が成長するというのは、まさに目指したい境地です。

 

ALをやっていると、自主や主体性は一気に身につかないこと、徐々に時間を掛けて変化していくことを経験することができます。私たち教師が時代や生徒の状況を見据え「自由の相互承認」を目指すためには、生徒や外部のソースを巻き込んだ授業づくりや学校づくりを時間をかけてでも着実に行っていくことが大切だと感じました。このとき、教員のチカラを育める環境づくりとともに、自由裁量権をいかに現場に任せるかということも、真の多様性を保証する意味でも重要になってきそうです。

 

まだ見ぬ社会かもしれませんが、その地平線の先を確かに示してくれる希望に満ちた1冊だと感じています。そして、この書籍を利用したオーサー参加型オンライン読書会も実施しました。自己矛盾を抱えながらも、果敢に挑戦を続ける仲間と出会い、対話をするという貴重な経験もできました。これからも迷いがある際には「自由の相互承認」に立ち返って進んでいきたいと思います。

 

公教育をイチから考えよう

公教育をイチから考えよう