チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

熊本地震を受けて ~特別公開授業「地震と人間生活」~

熊本地震後の初めての授業。このまま、通常通り授業はできないという思いと、ここ数日のことを伝え、一緒に考えたいという思いから、特別公開授業として「科学と人間生活」の中で授業を行いました。授業フレームについては、知り合いの社会の先生の授業を追試する形で、さらに知り合いの英語の先生との交流の中で生まれたアイディアを組み込んでいます。また、校内でも多くの先生方と実践や思いを共有できたらと考え、急でしたが公開授業の形を認めていただき実施できました。

 

【授業の流れ】

1.被災地の状況について①(10分)

2.意見交流と質問づくり(30分)

 (1) 地震後の気持ち

 (2) 周囲の現状

 (3) 質問づくり

   質問の焦点(テーマ)「被災地のニーズに合わない支援」

3.被災地の状況について②(5分)

   現在の被災地の状況を生徒の質問に緩やかに応えながら話していく

4.リフレクション(5分)

 (4) 今私たちにできること、大切なこと

 

【質問の例(一部抜粋)】

 ・被災地全てに支援物資が届いているのか?

 ・どのような支援が喜ばれるのか?

 ・被災地に必要のないものは何か?

 ・被災地と呼ばれる基準は何か?

 ・被災地の支援を考えない視聴率を気にした放送が行われるのはなぜか?

 ・どういうことが支援になるのか?

 ・なぜ支援がニーズと合わなくなるのか?

 ・どうして避難所でなく車中で生活をするのか?

 ・お金と物とではどちらがありがたいのか?

 

【生徒のリフレクション(一部抜粋)】

・いつか終わる。もとの姿に戻ることを信じることが大切。もとに戻るまで何年もかかるかもしれないけど、踏ん張っていくしかないと思っている。すぐに行くことはできないけれど、最低でも不安にさせるような文を(SNSなどで)まわしたりしてはいけないと思う。

・とても怖くて不安だったけど、被災地はもっと怖かったと思います。不安を感じている人も多いと思うので、そういう人を励ますなど支援をしていきたいと思います。

・現地では、食料が不足し、一世帯にコップ1杯程度の豚汁しか配給できていない状況でした。今私たちにできることはとても少ないですが、励まし合い助け合っていくことが大切だと思います。

・私たちは被災者に物を届けたりすることよりも被災者の心の傷を少しでも癒やしてあげることをした方がいいと思いました。大切なモノや人を失いたくさん傷ついていらっしゃると思うし、苦しまれていると思います。

・今は支援物資を送ったりするよりも、募金をした方がよいと思いました。1日でも早く元に戻れるよう、募金活動をしたいです。

・時間が経つと災害のことを忘れていって、支援活動が減ってしまうと思うから、少なくとも私たちだけは忘れずに募金や支援物資などできることを続けていきたい。

・普段の生活が当たり前なことだと思わずに、幸せなことだと思うようにしたいです。

・自分や家族、友達みんなの命は一番大切だと感じました。みんなと今過ごしている時間や、物が食べられることを大切にしたいし、感謝したいです。

・今普通に学校に通えていることに感謝して過ごしたい。

被災地の状況をしっかり把握し、その場所で足りないもの、望んでいる物をしっかりと考えるようにしたい。ボランティアなどができる状態になったらすぐに行けるようにしたいと思いました。

被災地の状況の変化は早く、きちんと状況を考えて支援するべきだと思いました。

・今の熊本の現状を身近な人に正しく伝えることが大切だと思います。

・まわってきた情報をすぐに信用しないことが大切。

・時間単位で必要な物は変わっていくこと。

・不安なことはわかるが必要以上に買い占めたりしない。

チェーンメールのことで、先生の話しを聞いて安心しました。デマや本当かわからないことを流さないことが大切だと思います。

 

合計4クラスで授業を行いました。ここでは、経験したことを伝えながら、科学的かつ冷静な視点で見極めることの重要性、仕事の尊厳や生き方などキャリア教育の視点も意識して取り組みました。最初の授業は担任をするクラスで実施しましたが、被災地の状況報告を聞きながら涙ぐむ生徒もいました。わたし自身も、感極まり言葉に詰まってしまう場面もありましたが、体当たりで無事に授業をすることができました。これから教育活動を通して何ができるのか、どう生きていくのか、引き続き生徒とともに考えていきたいです。

 

【参考文献】

明光学園高等学校 特別授業「地震と人間」レポート(2016年4月18日)教育ICTリサーチ ブログ http://blog.ict-in-education.jp/entry/2016/04/18/171833