大学でのシンポジウムに登壇~高校でのAL実践者として~
3月は、2回の北海道大学と九州大学で行われた2回のシンポジウムにパネリストとして登壇させていただきました。ここでの様子と感想をまとめておきたいと思います。
【北海道大学でのシンポジウム「自然科学のためのアクティブラーニング」】
北大の先生方の生物や数学における試行錯誤の過程は、コンテンツは違うとはいえ、ALでのつまずきや気づきは似ていて、共感を持って意見交換が出来ました。さらに、東京大学のKALSでの講義について話が伺えたことは、嬉しかったです。
北大の先生方の寛容で熱心な雰囲気の中、私は1時間をいただき、ワークを入れながらの講演を行いました。大学の先生方を対象にした場は初めてでしたが、とても心地よく進めることが出来ました。
その結果(?)予想以上に時間を使ってしまい、予定していたワークの一部等が時間内に収まりきれないという初めてとなる経験をしました。しかしながら、柔軟にプログラムを変更していただき、最後の話し合いの時間も確保してもらえました点は、感謝の一言です。
今後、その場に即した柔軟性のあるスライドづくりを少し意識していこうと思いました。パネルディスカッションでは、リフレクションについての最先端の問いかけがパネリスト全体に投げかけられ、その後有意義な意見交換が出来ました。懇親会では理学ならではのコアなお話も伺え楽しい時間を過ごせました。
北大のAL推進室のみなさん、パネリストのみなさん、参加されたみなさんに再度感謝したいと思います。
【電子情報情報通信学会シンポジウム「教育の改革に向けて」】
大学での実践発表を伺い、その背景などについても理解することができました。
ここでの持ち時間は25分でしたが、スライド枚数を絞り込み、参加者が活動する時間を講演時間に入れ込みました。会場は、普通に学会の雰囲気でしたが、コーディネーターの先生からも快諾をいただき、思い切って実行できました。通常の講演会にALの要素を入れるという、裏目標も達成できました。
お声掛けいただきましたこと、また急なワークに参加していただきました会場のみなさんに感謝いたします。
【メモや雑感】
両シンポジウムでの、パネルディスカッションでのフロアからの意見や会期中のやりとりを通して。
○全ての授業でアクティブラーニングが実施された場合には、AL疲れのようなものが起きないのか?というか、現在感じている。
→ 講義や詰め込みでの疲れを危惧してALをスタートさせている方も知っている。しかし、AL疲れが起きるまで浸透する際には、特に効果的な時間割を学校全体で考える必要が出てくるのではないか?効果的な配置については、試行錯誤と経験知が欲しい。
○学生側からすると、未完成なALで失敗をして貰ったままでは困る。
→改善のためのサイクルが回せていない状態は確かに厳しいかもしれない。一方で、学生と教員が試行錯誤する過程は意味があると考えているし、それを保証しない場合には、ALの視点からの授業改善は難しくなると感じた。また、一方が失敗と感じていても、本当に失敗なのかは分からない。
○効果的なリフレクションの実施方法とは?形骸化したリフレクション活動と出会うことがある。
→モチベーションを考えると、外的評価と結びついた際には、本来のリフレクションが難しくなる可能性はある。また、取り組む意義を感じられる仕組みは必要。リフレクションは強力なツールには変わりはない。実践を通した研究が必要。
○全ての教科に関心を持ち、本当の意味でアクティブになる必要はないのでは?
→担当する側からは、少し寂しいが確かにそうかもしれない。苦手を人並みには伸ばし、いくらでもチカラが使える分野や活動を知るためには、あらゆる教科で、生徒が主体的に学べるチャンスが必要になりそう。
これからも継続的に実践を通して考えたり、解決に向けて頑張りたいです。貴重なやり取りをありがとうございました。しばらくは生き方と結びつける授業実践についての研究がテーマとなりそうです。