チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

産業能率大学第9回キャリア教育推進フォーラムにて授業実践

8月に産業能率大学にて、主に高校の先生方を対象としたフォーラムにてアクティブラーニング型授業の実践者として、授業をして来ました。
 
授業に参加していただいたのは、生物を中心に理科の先生方と社会の先生方が半々くらいで、ALの実践年数が多様でした。そのため、①授業の基本の流れを示すことと、②様々な教科で使用可能なツールを提供すること、③話し過ぎや社会的な手抜き(フリーライダー)を防ぐ方法を示すこと、④深い学びに繋がる活動を入れること、などを意図して次のように進めていきました。

 


【授業の流れ】

0.休み時間に、カタルタを各班に準備してアイスブレイク

1.授業の目的・目標を示す(しなやかマインドへシフトを促す)

2.KP法にて復習内容の確認(グーチョキパー(GCP)アンケートにて全員参加を促す)

3.看図アプローチ

4.LTDの関連付け

 参考:http://albio.hateblo.jp/entry/2015/03/03/230225f:id:jugyo_coevolution:20150918024012j:plain

5.グラフを用いた看図アプローチ(発展内容、グラフ看図の紹介)

※個人思考後、グループで話す。

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出典:東京大学大学院農学生命科学研究科水産資源学研究室、独立行政法人国立環境研究所

 

  1. 【関連付け・外挿】

・質量からグラフを3つのグループにわける。

(答:1977~1988、1989~1995、2003~2009)

・(  )に当てはまる生物種を予想する。理由を話す。

(答:ア ウニ類、イ 甲殻類、ウ 魚類)

  1. 【変換】

・グラフの題名、その他読み取ったことを伝える。

(答:東京湾における漁獲量および種数の経年変化)

  1. 関連記事を読む。
  2. 堀口 敏宏「東京湾の魚介類の繁殖を阻害するものは何か? 」国立環境研究所HP>環境リスク研究センターHP>りすく村 Meiのひろば  https://www.nies.go.jp/risk/mei/mei002_9.html

 

6.リフレクションカード記入

【感想・コメントなど(抜粋)】

◯ペンギンの持つ可愛さと悲惨な状況というギャップから、学ぼうという意欲が高まり非常によくデザインされた授業だと感じました。
◯誰もが簡単に取り組める、また親しめるペンギンの写真からスタートしてビジュアル的なものを言語化していく活動から、グラフの読み取りというロジカルな活動への移行するという易しいものから徐々に難易度を上げていくという流れが素晴らしかったです。
◯私も酸素解離曲線の授業をした際に、胎児のグラフを予想させて理由を考えさせ、グループで話し合いながら答えを決めていくという活動をしたことがありました。これも看図といえますか?(→「言えると思います。私もグラフの続きを予想させる問題を使うことはあります」と回答)
諫早湾干拓のデータかと思いましたが、やられました(→「東京での授業なので、こちらのデータを使いました」と回答)

◯漠然としたテーマから生徒に考えさせるやり方が新鮮でした。

◯高校時代に生物を履修していなかったので、難しいと感じましたが、グループワークを通して様々な意見が聞けて良かったです。

◯看図アプローチ、参考になりました。私も1枚の写真やグラフからの思考、チャレンジしてみます。

◯グループや個人に対する発問や指示がすごく明確で、おそらく全員の先生方が迷わず取り組めていたと感じました。ありがとうございました。またいろいろ教えてください!

◯ニュースにアンテナを張る!!私も実践してみます。

◯グループでの話し合いの方が、教壇からの説明よりもよく頭に入るということがよくわかりました。

◯「KP法」「看図」などたくさん勉強になりました。グラフの読み解きなどすごく面白いのでやってみたいと思います。

◯教科書の内容をすごく早く進まれていることにびっくりしました。私ももっと研究をしてみなければとおもいました。

◯穴埋め式の教え込みに物足りなさを感じています。資料の準備本当に大切ですね。今日のヒントをこれからの参考にさせていただきます。また連絡します。

◯他人が気づくポイントが異なることが面白かったです。

◯期待通り予想以上の授業を受けることができました。授業のとらえ方と思いに共感することばかりでファンになりました。グラウンドルールとコンテンツはすごいなぁと感じながら授業を受けました。

◯リフレクションカードの効果はいかがですか?

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失敗できないという思いから綿密な準備を行ったため、ファシリテーションには余裕があまりなく、しっかりと意見を拾いながら進めることができなかった点が反省点でしたが、結果としてとても楽しみながら授業ができました。理科の先生だけでなく、社会科の先生方も混じったことで、多様で自由な意見・発想があちこちで飛び交っていました。例えば、ペンギンのセーターの編み方からイギリスに由来する地域では?と言い当てた先生の観察眼と知識には、私自身新しい発見があり面白かったです。

 

お互いの意見を組み合わせたり参考にしたりしながら、納得解を作っていく過程は刺激的であることを改めて実感することができました。普段関われないさまざまな地域の方と、実に深く話し合うことができたことも、貴重な経験となりました。これから学習会同士の交流も生まれそうでワクワクしています。皆さんとの出会いと、貴重な機会をいただけたことに感謝したいと思います。