チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践の記録

【読書記録】 トニー ワグナー 『未来のイノベーターはどう育つのか ― 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』

 

未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの

未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの

 

  イノベーションのスキルや考え方の癖は、育てたり、教えたり、引き出したりできる!逆に言うと、イノベーターはあらゆる年齢と段階で優れたコーチングを必要とする。新しい形での授業と、新たに子育てが始まった私にとって意味のある読書となりました。図書館で4週間待ちだったこの本、家に帰るバスの中で一気に読み終えました(3時間弱)。

 

【話題】興味がある内容を選んで

①『7つのサバイバル術』

 フラット化する世界で仕事、生涯学習、そして市民生活に求められる新しいスキル

(1)批判的スキルと問題解決能力

(2)ネットワーク全体におけるコラボレーションと影響力によるリーダーシップ

(3)敏捷性と適応力

(4)イニシアチブと起業家精神

(5)情報へのアクセス力と分析力

(6)口頭と書面でのきちんとしたコミュケーション力

(7)好奇心と想像力

②『サバイバル術に加えてイノベーターに必要な力』

(1)実行力

 イノベーターは質問によって現状を打破し、新たな可能性を検討する。また観察力によって、新しいやり方のヒントになるささいな行動に目を付ける。さらに実験力によって新しい経験を執拗に試してその領域を探る。そしてさまざまなバックグラウンドの人とのネットワークを通じて、それまでとはまったく異なる視点を持つようになる。

(2)思考力

 4つの行動パターンはみな、イノベーターが物事を関連付け新しい洞察を得る助けになる。

③『学校と生徒の現状』

 多くの場合、教育は丸暗記によって情報を伝達するプロセスに過ぎず、生徒が質問したり自分で見つけたりする(イノベーションに不可欠な訓練)チャンスはほとんどない。その結果、生徒たちが本来もっている好奇心はそがれてしまう。多くの学生が試験にパスする方法は知っていても、学習意欲は乏しく、本当に必要なスキルは身に付けないまま高校や大学を卒業していく。

④『21世紀に必要なスキル』

 自分が何をしっているかよりも、自分が知っていることで何がやれるかのほうがずっと重要になる。新しい問題を解決するために、新しい知識に興味を持ち、新しい知識を作り出す能力が最重要である。

⑤『親としていちばん重要なこと』 … 実験する機会と時間を確保すること

 子供の意見を尊重して耳を傾けること。でも自由にさせすぎないことも重要で、限界、境界線、秩序は必要。ただしそれが多すぎると、クリエーティブな衝動を殺しかねない。

○おもちゃを与え過ぎないこと …創造性を育む

 大きな段ボール箱一個と棒が二本、ロープ二本で何年も遊んだ。

○生物学者マルコム・キャンベルの言葉

 「子供が自分の関心にふけるに任せておくのがいかに重要か私は学んできました。水玉模様の服と縞模様の服を一度に着たいなら、それでいい。食べ物で絵を描きたいならそれでもいい。その後の掃除もきちんとやるならね」

 

【関連づけ】授業や自分自身を振り返って

①『7つのサバイバル術』

 チームでの学習が成功したときに得られる成果を明確にすることが出来ました。それと同時に、現在の授業形態では、ネットワーク全体におけるコラボレーション、イニシアチブと起業家精神、情報へのアクセス力に関しては、直接育む仕組みが無いように感じました。クラス全体での学び合いや自らの内的動機付けをもとに、専門家などに直接アクセスするような仕掛けづくりについても今後考えていきたいと思います。

②『サバイバル術に加えてイノベーターに必要な力』

 現在の授業スタイルにおいては、生徒自身の質問によるチームへの介入、導入時における写真を使った多角的動機付けの訓練が、質問力や観察力の向上に関連しているように感じました。さらに、マインドマップづくりにおける思考錯誤の過程や、発表を通してメンバーとの「ずれ」を意識することが、実験力や異なる視点の獲得と繋がる部分があるのではないかと思いました。また、授業の振り返りでは、学習内容と物事、自分自身との関連付けの時間を大切にしていきたいと感じました。

③『学校と生徒の現状』

 講義型授業をしていた頃に強く感じていた感覚であり、ここでの後悔が今の授業づくりの原動力のひとつになっています。

④『21世紀に必要なスキル』

 授業単元で得た知識と日常生活とが密接に関連した課題探求型の授業づくりにも挑戦したいと感じました。また、授業における毎回のテーマを思い切って日常と結び付けるのも手かもしれません。

⑤『親としていちばん重要なこと』 

 幼稚園生の頃、NHKの「できるかな」のノッポさんが好きで、自分も新聞紙や紙箱で昆虫や怪獣、武器を作って遊んでいました。このことは、創造性を育む教育だったんだと気づきました。自由と秩序のバランスについては、授業構成におけるファシリテーターとしての役割と通じるところがあると感じました。

 

 エピローグでは、「若き(気持ちの上では若き)イノベーターの君へ」と題して、手紙が書かれています。新しい授業形態に試行錯誤しながら取り組む者にとっても、心の支えとなる内容でした。