チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

単元終了時KP法で発表会~内容整理のために~

KP法での発表会を試験前に行うことで、知識の整理ができて効果的であったという話しを伺い、私も実践してみました。KPJ(紙芝居プレゼンテーションジグソー法)で行っています。

 

【授業の流れ】

1限目

①教科書のある単元を4人グループ内で、4分割し(A~D)、担当箇所を決定

②同じ範囲を担当する者同士でグループを再編成(例 Aグループ)

③個人でKPでシート(B5サイズ…ファイルに挟める)を作成

 ※同じ部分を担当している仲間が隣近所にいるため、必要に応じて相談する

 

2限目

①それぞれの班で順番に発表を行う

※ホワイトボード両面、前の黒板を2分割、ステンレステープでの簡易ホワイトボードなどを使い班の数、発表できる場を確保

※1班…ホワイトボード、長机1台、椅子3つ

※発表4分、フィードバック用紙(A6)記入1分(最後の班が発表を終えてから1分を計る)

②班内でフィードバック用紙(良かった点と愛のある指摘)を発表者に返す

③最後に個人でリフレクションを行い、シートに気づきや感想、次回頑張りたいことを記入

 

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1つのKPセットを一緒に作る作業も効果はあると思いますが、今回は単元終了後の内容整理であることを踏まえて、個人で作成するようにしました。同じ範囲を担当する者同士で集めていましたが、作業に集中しているため、ときどき相談が起きる程度となっていました。ここでは、発表会前に違うグループの内容をお互いに見合うことがないようにすることも意図しています。

 

この活動が2回目となるクラスでは、1限目だけでほとんどの生徒がKPセットを完成させており、また前回の反省を活かした工夫も見られました。

 

生徒はよく集中しながらも発表会のときも楽しみながら取り組んでおり、定期的にこの活動を入れていくことで、通常の授業時のまとめや発表にも良い影響を与えるように感じています。

 

 【参考文献】

川嶋直、皆川雅樹(2016)『アクティブラーニングに導くKP法実践: 教室で活用できる紙芝居プレゼンテーション法みくに出版

共感的コミニュニケーション×校内人権教育研修

共感的コミニュニケーションスキルとして、校内研修で非暴力コミュニケーション(NVC)を扱いました。まず差別の原因として予断と偏見があることを看図アプローチにて紹介。

 

ここを乗り越えるためには、他者また自己との対話が大切であることを確認しました。コミニュニケーショントレーニングのひとつとして、NVCの考え方を紹介後実際にグループでの体験をしていただきました。

 

【研修会の流れ】
①チェックイン…名前、体調、今の気持ち
②アイスブレイク…共通点探し
※ここでは藤原和博氏の方法を利用
http://logmi.jp/167606?pg=2
③解説…感情の正体(ニーズ)が分かると次の行動(リクエスト)が分かることを確認。
④グループ活動。まず1人が「イライラしたこと」を話す。他のメンバーは、感じたことを返し、感情を探る。その後、ニーズについても探る。
⑤④を他のメンバーでも実施
⑥チェックアウト

短時間でかなりタイトな時間での実施でしたが、ニーズに繋がる感覚までいきつけたグループもあったようでした。何よりも、職員の共通言語や概念としてNVCが使えるようになり、良かったです。生徒向けの授業にも取り入れていけたらと思います。

 

【参考文献】
NVC JAPAN「感情とニーズ」http://nvc-japan.net/material/feelings_needs_list/

一枚ポートフォリオ評価(OPPA)とリフレクション会

OPPA(One paper Portfolio assessment)の裏面とリフレクション会について紹介したいと思います。

 (参考:表面 一枚ポートフォリオ評価(OPPA)と思考ツールを活用した導入 - チームで学ぶ!高校生物

 

まず、授業の目標を立てる項目があり、授業のスタート時に前回のふり返りを参考にしながら、記入をします。学習終了前のリフレクション時に、5項目についてふり返りをします。

 

ここの項目は、「共通の目的達成度の5段階評価」「態度目標のチェック」「個人の目標がどのような場面で達成できたか?」「次回はどのように取り組みたいか?」「授業に関する感想、要望、意見」となっています。

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さらに、単元終了後には、全体を振り返って感想や気づきを記入する欄を設けました。

 

この部分に記入する前には、グループで集中的にふり返りが行えるように、ワークショップ形式でリフレクション会を実施してみました。

 

利用したのは、中島久樹さんの「リフレクションカードPersonal」の問いと、現在研究開発中のAL用の問い(No.2)です。

 

4名グループになり、まず1人が主人公となり、他の3名はサポーターとなります。まず主人公が、スタンスのカードから会を進める際のレベルを選びます(例 優しさを大事に)。次にサポーターが、No.2のカードから1枚ずつ選びそのカードの問いを尋ねます(例 今回の学びに点数をつけると?)。主人公は、しっかりとふり返り答えと理由などを答えていきます。時間いっぱいNo.2を繰り返します。時間が来たら最後に、サポーターがNo.3のカードから主人公の発言から感じたことをフィードバックしていきます(例 主人公のエネルギー源は何だと感じましたか?)。

 

【生徒の感想より】

・リフレクションを通して、自分自身やメンバーは以前に比べて成長しているんだなとおおいました。

・質問のカードがあることで、色々な質問ができた。

・自分にない答えをしていて、相手の意見を尊重することは大事だと思いました。

・友達がどんな思いを持って、また何を大事にして勉強しているのかを知れて良かった。

・みんなよく私のことを見ているなぁと思った。

 

最初は、恥ずかしがっていたグループも進めるにつれて、しっかりと参加してる場面も見られました。この活動の意義を感じてもらいながら、会の進行についてもさらに深められるよう支援をしていきたいと感じました。なお、No.2の質問は、10月に地元学習会で行った際の成果から抜粋したりアレンジしたもので、現在中島久樹さんと検討、実験を進めています。来年あたりにはプロトタイプが示せるかもしれません。お楽しみに!

 

【参考文献】

中島久樹「リフレクションカードPersonal」http://hisa-magazine.net/rcard-p/

一枚ポートフォリオ評価(OPPA)と思考ツールを活用した導入

知り合いの生物の先生に教えていただいたOPPA(One paper Portfolio assessment)、仲間内で小さな流行でした。

 

1枚の紙にふり返りをまとめて行く方法で、まず学習前の知識や興味を書いてもらい(診断的評価)ます。そして、各授業の終わりで、学んだことを書いてもらいます(形成的評価)。最後に、学習前に聞いたものと同じ問いを学習内容を踏まえて記述してもらったり(総括的評価)、感想を含めて記入をしてもらうというものです。

 

1枚の紙に学習過程を見える化をすることができるたいへん便利な方法です。また、リフレクションを残していくことができます。

 

私は、表面に学習内容のふり返りを、裏面に学習プロセスのふり返りを書けるようにしています。今回は表面について。

 

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また、学習前の診断的評価については、下手すると「知識が少ない」ということを確認するだけの活動となる可能性もあるため、ここについても次のような方法で進めることもあります。

 

例えば「ヒトの眼と何かの共通点と相違点をベン図に書いてみましょう」という課題を出します。すると、鏡、スマホなどさまざまなモノと比較をはじめその特徴について深く考えています。ここでは、個人で活動したあとにグループで一緒に活動をしていくようにしています。場合によっては、「生物発光」というテーマだけを与えて、マインドマップのように広げていく活動を入れたりしました。

 

積極的に診断的評価となる対象に向き合うことができており、動機付けにもつながるように感じています。課題としては、やや時間がかかってしまう場合もあったため、さらに効果的に実施できるようブラッシュアップをしていきたいと思います。

【参考文献】 教育評価の本質を問う 一枚ポートフォリオ評価OPPA 授業と評価をデザインする 理科―質の高い学力を保障するために

アクティブラーニング4連発!授業づくり実践講座を開催

地元学習会チームで作り上げた渾身の今年度最後のワークショップ。

 

第1部では授業づくりプロセスを共有後、第2部で実際に授業を体験、そして第3部でふり返り会を行うという形式で実施しました。これらの過程を可視化するために、ファシリテーショ

ン・グラフィックで記録を行っています。

 

第1部まずは、4名の授業者(国語、生物、社会、地学)の方に授業の教材やねらいなどを説明していただきました。

 

参加者は、授業者の説明を聞いた後に、授業づくりに関わりたい教科に分かれてチームを作ります。次に簡易授業案や教材を共有後、サポーターの進行で、問いや流れについて議論していきます。昼休みには、授業者やサポーターが中心となって高速ブラッシュアップをしていきました。実際には、昼休みになって30分が過ぎてもそのまま検討会が続いているチームもありました。

 

午後は、4本の授業を受けていきました。ここでは、フィッシュボールの手法を取り、チームメイトが授業をする際には、教師の視点で周囲に座り、ふり返りシートに記入をしていきます。その他の参加者の方は生徒役として授業を受けます。その後、休み時間を利用して振り返りシートや授業者へのフィードバックとなるラブレターを記入していただきました。

 

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ふり返り会では、まずはそれぞれオリジナルチームでまずは授業の感想などを共有していきました。基本的に小林先生のふり返り会をベースにしています。その後、ワールドカフェのような形式で、他のチームのふり返りに参加していきます。ここでは、サポーターとグラフィッカーをオリジナルチームから出ていただき、参加者の方にも経験をしてもらいました。

 

最後には全体のリフレクションを個人で行い終了となりました。

 

オリジナルチームでは、まさにチームとしての実感を得ることができました。このような場を自分自身の学校でも実現させたいと感じました。

 

そして、模擬授業をされた先生方の練り上げには、感動しました。ふり返り会のときにどういう過程でそうなっていたのかを知ることができてよかったです。

 

来年度に向けてさまざまな気づきも得ることができました。まさに仲間や参加者とつくりあげたワークショップでした。

 

【参考文献】

藤原 友和(2011)『教師が変わる!授業が変わる!「ファシリテーション・グラフィック」入門』明治図書

小林昭文『ケース別 授業実践の悩みはこう解決!』

キャリアガイダンス vol.405 2014.12

「アクティブラーニングで変わる 授業と生徒の未来」より

http://souken.shingakunet.com/career_g/2014/12/vol405201412-3a96.html

地元生物部会にてKP法講座実施

午前中は、水産試験場でのバックヤードツアーおよびデンソーの新事業についての講演会でした。ここでは、グラフィックレコードの手法を用いて、講演会を記録しました。 

 

午後は、午前中の学びをどのように生徒に伝えるのか?ということをテーマにKP法講座を実施しました。

 

ここでは、学習会の仲間である先生からまず現場でのKP法実践について、教師利用および生徒利用の場面での実践や成果、利点などについて発表がありました。

 

KP法講座については、手順としては次のように進めています。

 

①講演会で気になったキーワードを3つA4用紙に書いておく。マグネットテーブル形式、つまり似たようなキーワードを挙げている仲間にて5人グループを作る。

②KP法を用いた授業デザイン会の進め方、KPシート作成のコツ、フィードバックの方法についてKP法で説明。

③グループでKPセットを作成(45分)

④発表会5分×5本(25分)

⑤オリジナルチームでふり返り(10分)

 

最初は、難しそうに構えていた雰囲気もKPシート作成が進むに連れて、よい雰囲気になっていきました。参加者の方々の頭がフル回転している様子が伺えました。

 

このとき、グループ内で議論をするときに、グラフィックレコードを見て検討をしたり、iPadで撮影をして、各テーブルで使用したりしている場面もあり、有効に利用されていることが分かりました。

 

そして、基本全員が発表ということ、フィードバックを受けるということで、懸命に発表している場面や、普段授業をされていない管理職の先生方もここぞとばかりにKP法で発表をしている様子を伺い嬉しい気持ちになれました。

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なお、発表時には、発表用のグループを再編成するポスターツアー形式も考えましたが、ここでは参加者の人数により柔軟に対応できるワールドカフェに近いカタチをとりました。この実践については、知り合いの数学の先生が、実践を詳しく報告されています(1)

 

会終了後も、あちこちで議論が続いていました。

 

本県の生物教師の多くの方にKP法作成や発表を経験していただけたことは意味があることだと感じます。ここから、さらに広がっていけば良いなと思いました。

 

【参考文献】

(1)田中光一(2016)『“協力・承認・思考整理”を大切にした授業におけるKP法の活用』→ 川嶋 直、皆川雅樹(2016) 「アクティブラーニングに導くKP法実践: 教室で活用できる紙芝居プレゼンテーション法みくに出版 に掲載

【自律的学習者育成のために】『Academic TRANSFORMATION: The Road to College Success』

今回は精読でなくプロアクティブリーディングという方法で読んでみました。 

 

この手法は、精読前読書法として知り合いの英語の先生の方が考案されている方法で、数ページを読みながらノートやA4用紙1枚に次のことをまとめます。①『読書の目的』、②著者のこと、③ざっと流し読みをして気になった単語、④数ページを選び(6ページ程度)気になった単語、⑤その単語を中心にまなんだこと、⑥振り返り

 

この手法は、動機付けおよび書籍の概要把握にチカラを発揮します。自分の言語化されない部分の関心と本を繋ぎ、さらに読みたいという気持ちにもなる、興味深い設計となっています。

 

通常ならば、ワークシートを作りながら1冊を読むのに、30分程度でも終わると思います。今回は『Academic TRANSFORMATION: The Road to College Success』という洋書を使ったためやや時間はかかりましたが、いくつか気になる点を洗い出すことができました。

 

気になったいくつかのポイントを示したいと思います。

 

◯リフレクションは、世の中を洞察し、改善していく重要なスキルである。
クリティカル・シンキングを行う人の3分類
…unreflective thinker(受動的な者)、novice thinker(初心者)、advanced thinker(自律者)
◯関心があり自発的に学習する状態↔形式的に決まったものを学習されている状態
◯良い読書を阻害する要因①語彙力(支援方法:フラッシュカードで補う等)、②集中力(支援方法:10分ごとに読んだ段落を数え、ポイントを言うセルフテストを実施。20分ごとに5分休憩)
◯脳は、人や文章、デジタル媒体を通して、常に脳内にマップを作り続けている。
◯スマートなゴール(SMART goals)とは、明確で(Specific)、測定可能な(Measurable)、到達可能な(Achievable)、現実的で(Realistic)、タイムリー(Timely)なものである。
◯時間と仕事のマネージメントについて。時間管理は、ビジョンとスマートなゴールがスタートである。毎日入ってきた情報を全ての処理すること、今は何をするのがベストな時間かを問うことが大切。
◯学生の認知発達段階…①二元論:良いか悪いかで決める、②多元論:答えを探している段階では、誰もが多様な意見を持てると考えるが、その解答は探索中。③相対主義:すべてのものは意味があるが、対等でなく、証拠や論理に基づくと考える。④コミットメント:信念や関係性、仕事などを、どのようにまたなぜそうするのかを、自らの意思で決定できるようになった段階にある状態。

◯学習のスタイルは、才能や好みで決まる。リフレクションを行うことで確認できる。

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自律的な学習者に向かうための手法や理論、その発達段階(時間と手立てが必要)について体系的に記してある書籍。大学の授業をする者に向けて書かれたものであるが、自律的な学習者を育むことを目指す者として、さらに精読を勧めていきたいと感じた。

 

【参考文献】
De Sellers,Carol W. Dochen, Dr. Russ Hodges(2014)『Academic Transformation: The Road to College Success』Pearson, http://amzn.asia/dJUa8m4