チームで学ぶ!高校生物

“アクティブラーニング型授業”実践、職員研修の記録

アクティブラーニング4連発!授業づくり実践講座を開催

地元学習会チームで作り上げた渾身の今年度最後のワークショップ。

 

第1部では授業づくりプロセスを共有後、第2部で実際に授業を体験、そして第3部でふり返り会を行うという形式で実施しました。これらの過程を可視化するために、ファシリテーショ

ン・グラフィックで記録を行っています。

 

第1部まずは、4名の授業者(国語、生物、社会、地学)の方に授業の教材やねらいなどを説明していただきました。

 

参加者は、授業者の説明を聞いた後に、授業づくりに関わりたい教科に分かれてチームを作ります。次に簡易授業案や教材を共有後、サポーターの進行で、問いや流れについて議論していきます。昼休みには、授業者やサポーターが中心となって高速ブラッシュアップをしていきました。実際には、昼休みになって30分が過ぎてもそのまま検討会が続いているチームもありました。

 

午後は、4本の授業を受けていきました。ここでは、フィッシュボールの手法を取り、チームメイトが授業をする際には、教師の視点で周囲に座り、ふり返りシートに記入をしていきます。その他の参加者の方は生徒役として授業を受けます。その後、休み時間を利用して振り返りシートや授業者へのフィードバックとなるラブレターを記入していただきました。

 

f:id:jugyo_coevolution:20161223012636j:plain

ふり返り会では、まずはそれぞれオリジナルチームでまずは授業の感想などを共有していきました。基本的に小林先生のふり返り会をベースにしています。その後、ワールドカフェのような形式で、他のチームのふり返りに参加していきます。ここでは、サポーターとグラフィッカーをオリジナルチームから出ていただき、参加者の方にも経験をしてもらいました。

 

最後には全体のリフレクションを個人で行い終了となりました。

 

オリジナルチームでは、まさにチームとしての実感を得ることができました。このような場を自分自身の学校でも実現させたいと感じました。

 

そして、模擬授業をされた先生方の練り上げには、感動しました。ふり返り会のときにどういう過程でそうなっていたのかを知ることができてよかったです。

 

来年度に向けてさまざまな気づきも得ることができました。まさに仲間や参加者とつくりあげたワークショップでした。

 

【参考文献】

藤原 友和(2011)『教師が変わる!授業が変わる!「ファシリテーション・グラフィック」入門』明治図書

小林昭文『ケース別 授業実践の悩みはこう解決!』

キャリアガイダンス vol.405 2014.12

「アクティブラーニングで変わる 授業と生徒の未来」より

http://souken.shingakunet.com/career_g/2014/12/vol405201412-3a96.html

地元生物部会にてKP法講座実施

午前中は、水産試験場でのバックヤードツアーおよびデンソーの新事業についての講演会でした。ここでは、グラフィックレコードの手法を用いて、講演会を記録しました。 

 

午後は、午前中の学びをどのように生徒に伝えるのか?ということをテーマにKP法講座を実施しました。

 

ここでは、学習会の仲間である先生からまず現場でのKP法実践について、教師利用および生徒利用の場面での実践や成果、利点などについて発表がありました。

 

KP法講座については、手順としては次のように進めています。

 

①講演会で気になったキーワードを3つA4用紙に書いておく。マグネットテーブル形式、つまり似たようなキーワードを挙げている仲間にて5人グループを作る。

②KP法を用いた授業デザイン会の進め方、KPシート作成のコツ、フィードバックの方法についてKP法で説明。

③グループでKPセットを作成(45分)

④発表会5分×5本(25分)

⑤オリジナルチームでふり返り(10分)

 

最初は、難しそうに構えていた雰囲気もKPシート作成が進むに連れて、よい雰囲気になっていきました。参加者の方々の頭がフル回転している様子が伺えました。

 

このとき、グループ内で議論をするときに、グラフィックレコードを見て検討をしたり、iPadで撮影をして、各テーブルで使用したりしている場面もあり、有効に利用されていることが分かりました。

 

そして、基本全員が発表ということ、フィードバックを受けるということで、懸命に発表している場面や、普段授業をされていない管理職の先生方もここぞとばかりにKP法で発表をしている様子を伺い嬉しい気持ちになれました。

f:id:jugyo_coevolution:20161223002349j:plain

 

なお、発表時には、発表用のグループを再編成するポスターツアー形式も考えましたが、ここでは参加者の人数により柔軟に対応できるワールドカフェに近いカタチをとりました。この実践については、知り合いの数学の先生が、実践を詳しく報告されています(1)

 

会終了後も、あちこちで議論が続いていました。

 

本県の生物教師の多くの方にKP法作成や発表を経験していただけたことは意味があることだと感じます。ここから、さらに広がっていけば良いなと思いました。

 

【参考文献】

(1)田中光一(2016)『“協力・承認・思考整理”を大切にした授業におけるKP法の活用』→ 川嶋 直、皆川雅樹(2016) 「アクティブラーニングに導くKP法実践: 教室で活用できる紙芝居プレゼンテーション法みくに出版 に掲載

【自律的学習者育成のために】『Academic TRANSFORMATION: The Road to College Success』

今回は精読でなくプロアクティブリーディングという方法で読んでみました。 

 

この手法は、精読前読書法として知り合いの英語の先生の方が考案されている方法で、数ページを読みながらノートやA4用紙1枚に次のことをまとめます。①『読書の目的』、②著者のこと、③ざっと流し読みをして気になった単語、④数ページを選び(6ページ程度)気になった単語、⑤その単語を中心にまなんだこと、⑥振り返り

 

この手法は、動機付けおよび書籍の概要把握にチカラを発揮します。自分の言語化されない部分の関心と本を繋ぎ、さらに読みたいという気持ちにもなる、興味深い設計となっています。

 

通常ならば、ワークシートを作りながら1冊を読むのに、30分程度でも終わると思います。今回は『Academic TRANSFORMATION: The Road to College Success』という洋書を使ったためやや時間はかかりましたが、いくつか気になる点を洗い出すことができました。

 

気になったいくつかのポイントを示したいと思います。

 

◯リフレクションは、世の中を洞察し、改善していく重要なスキルである。
クリティカル・シンキングを行う人の3分類
…unreflective thinker(受動的な者)、novice thinker(初心者)、advanced thinker(自律者)
◯関心があり自発的に学習する状態↔形式的に決まったものを学習されている状態
◯良い読書を阻害する要因①語彙力(支援方法:フラッシュカードで補う等)、②集中力(支援方法:10分ごとに読んだ段落を数え、ポイントを言うセルフテストを実施。20分ごとに5分休憩)
◯脳は、人や文章、デジタル媒体を通して、常に脳内にマップを作り続けている。
◯スマートなゴール(SMART goals)とは、明確で(Specific)、測定可能な(Measurable)、到達可能な(Achievable)、現実的で(Realistic)、タイムリー(Timely)なものである。
◯時間と仕事のマネージメントについて。時間管理は、ビジョンとスマートなゴールがスタートである。毎日入ってきた情報を全ての処理すること、今は何をするのがベストな時間かを問うことが大切。
◯学生の認知発達段階…①二元論:良いか悪いかで決める、②多元論:答えを探している段階では、誰もが多様な意見を持てると考えるが、その解答は探索中。③相対主義:すべてのものは意味があるが、対等でなく、証拠や論理に基づくと考える。④コミットメント:信念や関係性、仕事などを、どのようにまたなぜそうするのかを、自らの意思で決定できるようになった段階にある状態。

◯学習のスタイルは、才能や好みで決まる。リフレクションを行うことで確認できる。

f:id:jugyo_coevolution:20161113002832j:plain

自律的な学習者に向かうための手法や理論、その発達段階(時間と手立てが必要)について体系的に記してある書籍。大学の授業をする者に向けて書かれたものであるが、自律的な学習者を育むことを目指す者として、さらに精読を勧めていきたいと感じた。

 

【参考文献】
De Sellers,Carol W. Dochen, Dr. Russ Hodges(2014)『Academic Transformation: The Road to College Success』Pearson, http://amzn.asia/dJUa8m4

【読書の記録】『公教育をイチから考えよう』~オンライン読書会へ~

今回2度の『公教育をイチから考えよう』を利用したオンライン読書会を行いました。

 

本書では、公教育は、産業発展のための人材育成といった固定的な価値観でなく、社会動向や未来のヴィジョンを見据えてダイナミックに変化していく必要があること、「よい教育」の原理や実践を現場で実装可能にするためには、教師だけでなく生徒、保護者といったあらゆるステークホルダーが知恵やチカラを出し合って行く必要があることが確認されています。官教育から、本当の公教育にしていくための力強い原理や、オランダでの実践を知ることができました。

 

特に貧困層への資金投入がしっかりと行われ、さまざまな尺度で生徒の成長を見ている姿勢は、日本のように富むものが塾に行き1つの尺度だけで成功か失敗かが決められる社会とはずいぶん違うなと思いました。

 

また、科学に慣れ親しんだものとしても共感できたのは、「教科書中心主義」は、AならばBというような単純化された思考を強化し、原因と結果がはっきりとしない現実社会の理解を妨げているという主張でした。

 

科学は人類が共通に紡ぎ上げてきた大切な文化であるという理解のもと、その知識を学んでいくのと同時に、完全な解答を示すものでも無いこと(納得解)、限界があることについても経験社会での学びを通して理解を深める必要があると考えています。この点については、「測定できる力から測定できない力へ」、「丸暗記から問いかける姿勢へ」という書籍で紹介されていた考え方にも実にスムーズにつながると感じました。

 

マイクロソフトは「個人業績」よりも、チームへの貢献度、チームとの協同、個人の成長に重点を置く人事制度に刷新すると宣言したそうです。このことは、個々が最大限の能力を発揮させることができ、幸福を求める自由が保障されたときに、持続的で意味のある発展を続けることができるという本書の主張と見事に一致していると感じました。

 

テストについても、序列をつけ他人と比較することに特化したものでなく、発展モニターに重点を置いたものにしていくことで、それぞれの子どもの特性を育むことにもつながるのだと感じます。そこで生じた多様性を認め合い、協同することで、全体が成長するというのは、まさに目指したい境地です。

 

ALをやっていると、自主や主体性は一気に身につかないこと、徐々に時間を掛けて変化していくことを経験することができます。私たち教師が時代や生徒の状況を見据え「自由の相互承認」を目指すためには、生徒や外部のソースを巻き込んだ授業づくりや学校づくりを時間をかけてでも着実に行っていくことが大切だと感じました。このとき、教員のチカラを育める環境づくりとともに、自由裁量権をいかに現場に任せるかということも、真の多様性を保証する意味でも重要になってきそうです。

 

まだ見ぬ社会かもしれませんが、その地平線の先を確かに示してくれる希望に満ちた1冊だと感じています。そして、この書籍を利用したオーサー参加型オンライン読書会も実施しました。自己矛盾を抱えながらも、果敢に挑戦を続ける仲間と出会い、対話をするという貴重な経験もできました。これからも迷いがある際には「自由の相互承認」に立ち返って進んでいきたいと思います。

 

公教育をイチから考えよう

公教育をイチから考えよう

 

 

話し合いおよび思考の活性化をねらいとした質問カルタ利用法②~導入時の活動編~

生徒の話し合い活動で質問カルタを利用した授業を始めました。

http://albio.hateblo.jp/entry/2016/10/31/003954

単元の導入時に、これまでの知識を確認したり、思考やイメージを広げたりする中で、新しい気づきや疑問をそれぞれに持ち、動機付けなどを行うひとつの活動として次のような活動を行ってみました。

 

1.テーマを示す。(例:生物の発光)

2.質問カルタを一人3枚引く。テーマとそのカルタの質問を結びつけて個人思考。(例:将来的にもずっとこの仕組みは存在するだろうか?)。OPPA(1枚ポートフォリオ)の最初の部分に記入。※OPPAの活用については、また記事にしたいです。

3.メインファシリテーター(話し合いを円滑にまわしていく)、グラフィッカー(B4紙に話し合いの過程を残す)、サポーター(他の2役をサポートしながら話し合いに参加)を各班3~4名を立てる。

4.テーマに沿って、それぞれの意見を出していく。このとき、グラフィッカーは、マインドマップを利用して、絵なども自由に使いながら記録をしていく。

4.話し合い後、各班での「気づき」「疑問」を、記録を取っていたB4紙の裏に記入。

5.それぞれ黒板にマグネットでマインドマップ側を貼付。クラス全体で、共有しながら、共通点や差異を簡単に紹介。裏返しながら、気づきや疑問点についても共有。

6.さらに個人での気づき、疑問点をOPPA(1枚ポートフォリオ)の最初の部分に追記。

 

それぞれの生徒が役割りを果たしながら積極的に話し合いに参加していました。また、クラス全体で、テーマに対する現在の理解や、さらに学びが必要な部分なども確認できて面白かったです。

 

ここでの気づきや疑問を持ち続けて単元を学んでいける工夫や、これらの総括部分で活かせる工夫もしていきたいと考えています。

話し合いと深い学びを促す質問カルタ利用法①~話し合い活動編~

生徒の話し合い活動では、クラスや学年などによってうまく場合とそうでない場合もあります。欠席者が出た際に、グループに混ざって活動をしていると、質問の出し方に差異があることに気づきました。

ここでは、あらかじめ話し合いを促す質問を準備していると、話し合いや思考を促すことができるのではないかと考え、理科用のカルタを作ってみました。

問いを独自に、3段階に分類して利用することにしました。まだまだ実験中ですが、ひとまず、レベル1は内容に関するもの(例:その例を出せますか?)、レベル2は関連づけを促すもの(例:最初のテーマとどのように関係しているでしょうか?)、レベル3は思考を広げる・深めるもの(例:それはどのようにして生じたと考えられますか?)としています。f:id:jugyo_coevolution:20161031003908j:plain

ジグソー法で利用する場合には次のような活用を行ってみました。
1.グループ内でひとりが発表する。
2.発表者に対して、レベル1のカード1枚を選んで、質問する(前に発表した人)。
3.1~2を全員が行う。
4.全員が発表後、レベル2のカードを選んで自由に話し合いを行う。この際、適宜他のカードを利用しても良いこととする。

質問の例があるため、質問をすることは確実にできるような仕組みとなっています。さらに、質問に対して、発表者だけでなく班員も考え緩やかに参加できるようにしました。質疑応答は活性化しています。さらに、深く考える時間も大切にしていけると良くなりそうです。

将来的には、カード無しで活動が出来るようになればと考えています。特に、このカードは納得解を作っていくのに適していると感じています。これらの問いが自然と身についていくことで、将来答えのない問いへ対峙し探求していくチカラも育めるのではと期待しています。

 

【参考文献】
Fabien van der Ham「DOORVRAAGKAARTEN」
http://www.filosofiejuf.nl/webshop/niet-gecategoriseerd/doorvraagkaarten/
※オランダの哲学教材(小学生用)

 

ネイチャーゲーム ~生物の用語に慣れ親しむ~

ヒトのホルモンについて、生物基礎の教科書では14個が紹介されています。日常生活で生徒が聞くものは少ないようで「知っているホルモンは?」という発問に対しては、成長ホルモンが出るか出ないかという状況でした。

ここでは、ホルモンの名称に慣れ親しんでもらうことを目的として、久しぶりにネイチャーゲームを実施しました。ネイチャーゲームを取り入れた授業実践については、前回同様知り合いの社会の先生のブログを参考にしています。

 

http://blogs.yahoo.co.jp/suzukifamilyeiji/63026319.html

http://blogs.yahoo.co.jp/suzukifamilyeiji/63224412.html

地元の希少生物について知ろう ~ネイチャーゲームに挑戦~ - チームで学ぶ!高校生物

 

【授業の流れ】

① 簡単に解説をした後、個人でホルモン名とホルモンが出される内分泌腺およびはたらきを一致させる(覚える)

② ペアで問題を出し合い、確認

③ ホルモンに番号を付けて、出席番号と一致するものを名刺サイズの紙に記入

④ 回収後、名札ケースに入れる。生徒は前を向いたまま、教員もしくは後ろに座っている生徒が前の生徒の襟にクリップで用語の入った名札ケースをつけていく

⑤ ホルモンなので、教室という体内を自由に?循環してもらう

⑥ 出会った友人と1つ◯☓で答えられる質問をして、そこから自分がどのホルモンになっているのかを類推していく

⑦分かった人から教室前方の教師に答えを伝えに行く。正解の場合は、ホルモンの名札を黒板に描いてある正しい内分泌腺の位置に貼りあがり

f:id:jugyo_coevolution:20160917115022j:plain

 

一人でテスト前に覚えるのはツライ範囲だと思いますが、仲間と楽しみながら確認をすることができていました。動機付けとしても十分な手法だと感じました。